
EUは西バルカン運送業者に対し改めてシェンゲン・ビザ取得を要求:23日以降に再度の会合予定も再度の道路封鎖の懸念高まる
2月16日、欧州委員会のメルシエ(Guillaume Mercier)報道官は記者会見において、西バルカン諸国の貨物輸送業者に対し、シェンゲン圏内での滞在制限問題を解決するため、隣接するシェンゲン協定加盟国と密接に協力し、長期査証や居住許可の申請を行うよう促した。これは、2025年10月から導入され、同年4月10日に完全運用が開始される新しい欧州出入国システム(EES:Entry/Exit System)に伴う「180日間のうち最大90日間」という滞在ルールが、同地域のトラック運転手にとって死活問題となっていることを受けたものであった。
この新規則により、非EU加盟国である西バルカン諸国の運転手がシェンゲン圏内で業務に従事できる期間は、実質的に月平均15日間に制限されることとなった。セルビア、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、北マケドニア、モンテネグロの輸送業者団体は、この制限が物流網を麻痺させるとして強く反発し、2026年1月末には数日間にわたってEUとの国境検問所を封鎖する抗議活動を展開した。これを受けて欧州委員会は協議に応じる姿勢を見せ、2月3日に西バルカン各国の閣僚との会合を経て技術作業部会を設置したが、進展は芳しくない。
メルシエ報道官によれば、先週開催された技術事項に関する作業部会の初会合において、欧州委員会は既存のシェンゲンルールの原則を改めて説明するにとどまった。これに対し、西バルカン地域の輸送業者団体は、EU側が提示した柔軟性のない回答を「実質的な提案の拒否」と受け止めており、一部の地元メディアは、EUが業者側の提案を「想像力豊かすぎる」として退けたと報じている。マンディッチ(Neđo Mandić)会長率いるセルビアの国際輸送事業協会「メジュナロドニ・トランスポルト(Međunarodni Transport)」などの団体は、解決策が示されない場合、再び国境封鎖に踏み切る意向を示している。
現状では、滞在期間を超過した運転手が国境で入国を拒否されたり、強制送還されたりする事例が相次いでいる。ボスニア・ヘルツェゴヴィナのスヴィライ(Svilaj)国境検問所では、最近だけで10人の運転手が追い返されたほか、ドイツでは滞在超過を理由に複数のセルビア人運転手が拘束される事態も発生している。これにより、貨物の配送遅延や契約解除が続発し、地域経済に深刻な打撃を与えている。
ボスニアの物流コンソーシアム「コンソルツィウム・ロギスティカBiH(Konsorcijum Logistika BiH)」は、プロの運転手は観光客や移民ではなく、国際的なサプライチェーンの不可欠な一部であると強調し、他のカテゴリーに適用されているような例外措置を運転手にも認めるべきだと主張している。また、輸送業者らは、運転手がEUの就労査証を取得した場合、条件の良いEU域内の輸送会社へ流出する「労働力流出」のリスクも懸念している。競争力を維持するために各国の企業自体がEU域内に拠点を移転せざるを得なくなれば、西バルカン諸国の経済基盤に大きな影響を与えかねないと懸念されている。
欧州委員会は2月23日の週に次回の技術作業部会を開催する予定であるが、解決の糸口が見えない中、同地域の輸送業者による大規模な抗議活動が再燃する緊張感が高まっている。
(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)



























































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