
アゼルバイジャン大統領がセルビアを公式訪問:ニシュ近郊に500MWのガス火力発電所建設で合意
2月15日、セルビアのヴチッチ(Aleksandar Vučić)大統領は、ベオグラードを公式訪問したアゼルバイジャンのアリエフ(Ilham Aliyev)大統領と会談し、両国間に設置された戦略的パートナーシップ評議会(Savet za strateško partnerstvo)の初会合を開催した。この歴史的な会合の場で、両首脳はセルビア南部の都市ニシュ(Niš)近郊において、出力500メガワット(MW)のガス火力発電所を共同建設するための基本合意書(Term sheet agreement)を締結した。
ヴチッチ大統領が記者会見で明らかにしたところによれば、同プロジェクトはセルビアの公営ガス企業スルビヤガス(JP Srbijagas)とアゼルバイジャン国営石油・ガス会社ソカール(State Oil Company of Azerbaijan Republic)による出資比率50対50の合弁事業として進められる。プロジェクトの監督はアゼルバイジャン側が主導する形で行われ、今後2、3ヶ月以内に概念設計および主要プロジェクト設計の策定に着手する。建設期間は約2年強と見込まれており、順調に進めば2029年中の稼働開始を予定している。この発電所は、セルビアがエネルギー・ミックスにおけるクリーンな電力の割合を高めるために計画している一連のガス火力発電所建設の第一弾となる。
セルビアとアゼルバイジャンのエネルギー協力は近年急速に深化しており、背景にはセルビアによるロシア産ガスへの依存脱却という戦略的目標が存在する。両国は2023年11月、2024年から2026年にかけて年間最大4億立方メートルのアゼルバイジャン産ガスを供給することで合意し、その後も冬季の追加供給や日量最大250万立方メートルの供給契約を締結するなど、エネルギー安全保障上の連携を強めてきた。
今回のガス火力発電所建設合意は、セルビアのジェドヴィッチ=ハンダノヴィッチ(Dubravka Đedović Handanović)鉱業・エネルギー大臣とアゼルバイジャンのジャバロフ(Mihail Džabarov)経済大臣の間で署名された。
セルビア大統領府プレスリリースによれば、今回の首脳会談ではエネルギー分野にとどまらず、軍事技術、農業、イノベーション、インフラ投資など広範な分野での協力が議論され、合計7つの2国間合意文書が署名された。具体的には、ベオグラードとバクー(Baku)を結ぶ直行便の開設や、ベオグラードで開催される2027年国際認定博覧会(EXPO 2027)へのアゼルバイジャンの参加、さらには軍事技術協力のさらなる進展が確認された。また、両首脳は互いの主権と領土の一体性を尊重し続ける政治的立場を再確認し、国際的な危機や課題に直面する中でも相互の信頼関係を維持していく姿勢を強調した。アリエフ大統領は、セルビアが自国のリソースを活用して経済改革を成功させていることを高く評価し、今回の訪問が両国の具体的な利益に直結する成果をもたらすことへの期待を表明した。
国防分野においても重要な進展が見られた。同日、ガシッチ(Bratislav Gašić)国防大臣は、アゼルバイジャンのグルバノフ(Agil Gurbanov)国防次官と会談し、今週初めにバクー(Baku)で署名された「2026年二国間軍事協力計画」に基づく協力の強化を確認した。ガシッチ大臣は、アゼルバイジャンがセルビアの主権と領土の一体性を一貫して支持していることに謝意を表明し、アゼルバイジャンを重要な戦略的パートナーと位置付けた。
また、セルビアのジューリッチ(Marko Đurić)外務大臣とアゼルバイジャンのバイラモヴ(Džejhun Bajramov)外務大臣の会談では、エネルギー安全保障に加え、温泉観光を含む観光分野での投資促進や、欧州連合(EU)拡大の新たな方式、コソヴォ・メトヒヤ(Kosovo i Metohija)におけるセルビア系住民の現状についても意見が交わされた。
さらに、デジタルおよびメディア分野の連携も具体化された。セルビアのブラティナ(Boris Bratina)情報・通信大臣は、アゼルバイジャンのババイェフ(Sahil Babajev)財務大臣とメディア・通信分野の協力に関する覚書を締結したほか、ナビイェフ(Rašad Nabiyev)デジタル開発・輸送大臣とデジタル変革(DX)や通信インフラの整備、デジタルサービスの知見共有について協議した。経済面では、セルビアのメサロヴィッチ(Adrijana Mesarović)経済大臣がジャバロフ経済大臣と産業・投資・中小企業支援に関する覚書を交わし、将来的なベオグラード・バクー間の直行便開設や共同ビジネスフォーラムの開催に向けたプラットフォームを構築することで合意した。
このほか、セルビアのグラモチッチ(Dragan Glamočić)農業・林業・水利大臣による食品安全協力協定、セラコヴィッチ(Nikola Selaković)文化大臣による2030年までの文化協力覚書、ガイッチ(Zoran Gajić)スポーツ大臣によるスポーツ分野の協力、そしてラドイェヴィッチ=ハンダノヴィッチ(Sanja Radojević Škodrić)健康保険基金(RFZO)代行による健康保険分野の覚書など、多岐にわたる分野で制度的枠組みが整備された。両首脳は、戦略的パートナーシップ評議会が今後の政治的調整の重要なメカニズムとなり、両国の関係をより具体的かつ長期的な成果に結びつけるものであるとの確信を強調した。
(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)






























































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