
セルビア石油大手NIS、ロシア資本離脱へ向け米財務省に2月20日までの制裁猶予延長を申請
2月13日、セルビアの石油・ガス大手NIS(Naftna Industrija Srbije, NIS)は、米国財務省(U.S. Department of the Treasury)に対し、2月20日に期限を迎える特別ライセンスの延長を申請した。NISが発表したプレスリリースによると、この申請はロシア資本からの完全脱却を目指した所有構造の変更交渉を完了させるための時間を確保し、その間の円滑な事業継続を可能にすることを目的としている。
米国財務省外国資産管理局(Office of Foreign Assets Control:OFAC)は、ロシアのガスプロム・ネフチ(Gazprom Neft)が筆頭株主であるNISを、2025年1月に制裁対象に指定した。制裁の本格的な執行は2025年10月に開始されたが、OFACはその後、所有権の移転交渉とセルビア国内のエネルギー供給の安定を考慮し、数回にわたり暫定的な操業ライセンスを延長してきた。現在のライセンスは2月20日に期限が切れるが、OFACはこれとは別に、ロシア側株主の撤退に向けた交渉期間については2026年3月24日を最終期限として設定している。
現在進行中の再編案では、ハンガリーの石油・ガス大手MOL(MOL – Magyar Olaj- és Gázipari Nyrt.)が中心となり、ロシアのガスプロム・ネフチおよびガスプロム(Gazprom)系企業が保有する計56.15%の株式取得が計画されている。1月に署名された法的拘束力のある基本合意書(Heads of Agreement)に基づき、MOLはアラブ首長国連邦のアブダビ国立石油公社(Abu Dhabi National Oil Company, ADNOC)と共同で合弁会社を設立し、同社を通じてNISの過半数株式を保有する方針だとされている。
また、セルビア政府もエネルギー安全保障の観点から自国の支配力を高めるため、MOLから5%の株式を買い戻し、現在の29.87%から約35%まで保有比率を引き上げることで合意している。
セルビアのジェドヴィッチ=ハンダノヴィッチ(Dubravka Đedović Handanović)鉱業・エネルギー大臣は、2月初旬にアブダビでADNOC首脳陣と会談し、3月末までの最終契約締結に向けた詳細な協議を行った。同大臣は、2月末までにNISの資産査定(デューデリジェンス)を完了させ、OFACが設定した3月24日の期限内に売却契約に署名することを目指すと述べている。
NISはセルビア国内唯一の石油精製拠点であるパンチェヴォ(Pančevo)製油所を運営しており、従業員数は1万3500人を超える。同社は制裁の影響により2025年12月には原油調達が滞り、製油所の操業を36日間にわたり停止する事態に追い込まれた。その結果、2025年度の通期決算では、2024年度の101億ディナールの純利益から、56億ディナールの純損失へと大幅な赤字転落を記録している。国家税収の約12%を支える基幹企業である同社の安定操業を維持できるか否かは、米国による今回のライセンス延長の判断にかかっており、今後の動向が注視される。
(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)





























































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