
モンテネグロ、トルコとの査証免除措置を限定的に再開-EU査証制度への整合は加速
12月23日、モンテネグロ政府は、10月下旬から一時停止していたトルコ国民に対する査証免除措置を再開することを決定した。ただし、従来の90日間から30日間へと滞在可能期間を短縮しており、これは不法移民の防止および欧州連合(EU)の査証政策への段階的な整合を目的とした措置だとしている。
今回の措置の背景には、10月に首都ポドゴリツァ(Podgorica)で発生した刺傷事件がある。当初、トルコ人グループによる犯行と報じられたことで公共の緊張が高まり、政府は一時的な査証導入に踏み切っていた。その後の現地メディアの報道によれば、実行犯はアゼルバイジャン国民であったことが判明したが、この期間中、ターキッシュ・エアラインズ(Turkish Airlines)やペガサス航空(Pegasus Airlines)がモンテネグロ便を削減・キャンセルするなど、経済的な影響が生じていた。
モンテネグロ政府プレスリリースによれば、今回の査証免除措置再開は、トルコ当局との協力体制が強化され、安全保障および移民管理に関するチェック体制が整備されたことを受けたものだとされている。同様の滞在期間短縮はバーレーン、カタール、サウジアラビアに対しても適用される。また、アゼルバイジャンについても2026年1月15日までに査証政策の調整が行われる予定となっている。
2028年のEU加盟を目指すモンテネグロにとって、EU査証政策との完全な整合性確保は重要な課題となっている。イブラヒモヴィッチ(Ervin Ibrahimović)外相は以前、2026年第3四半期末までにEU査証制度との整合を完了させる義務があると述べており、現在は査証免除となっているロシアを含む計8か国に対しても、今後新たに査証を課す必要があることを示唆している。
一方で、トルコは2025年1月から9月期においてモンテネグロへの最大の直接投資国であり、国内では1万2,500社を超えるトルコ系企業が活動している。観光分野でもトルコ人訪問者は宿泊数全体の5%を占めており、主要な観光客源である国々への入国制限の強化は、同国の基幹産業である観光セクターにとって大きな挑戦となることが予想される。
(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)





























































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