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セルビアと韓国、包括的経済連携協定締結に向けた交渉を開始-韓国側はバルカン地域で唯一の交渉相手国としてセルビアを重要視

12月1日、ソウルにおいて、セルビアと韓国の両政府は、包括的経済連携協定(CEPA)の締結に向けた第1回交渉を正式に開始した。韓国産業通商資源部(Ministry of Trade, Industry and Resources)プレスリリースおよびセルビア国内・対外貿易省プレスリリースによると、この協議は同日から12月4日までの日程で行われる。

交渉の冒頭、韓国側代表団は「セルビアはバルカン半島において韓国がこのような協定交渉を行っている唯一の国である」と明言した。この発言は、韓国が二国間関係の包括的な発展において、セルビアを同地域における最重要パートナーとして位置づけていることを強く示唆している。

今回の交渉には両国から60名以上の代表団が参加しており、韓国側はソン・ホヨン(Son Ho-young)自由貿易協定交渉担当官、セルビア側は国内・対外貿易省のオリヴェラ・ヨチッチ(Olivera Jocić)次官補が首席交渉官を務めている。 両国は今回の交渉開始に至るまで数ヶ月にわたる調整を経て、協定の形式や内容について合意形成を進めてきた。第1回会合では、関税譲許、原産地規則、通関手続き、貿易の技術的障害(TBT)、知的財産権、経済協力など計10項目の主要分野について具体的な協議が行われる予定となっている。

セルビア政府は、将来的な協定の締結が二国間の経済協力制度を整備し、貿易関係の透明性を高めると期待している。特に、セルビア製品にとって参入障壁が高いとされる「要求水準の高い韓国市場」へのアクセス条件が改善されることで、セルビア産品の競争力が向上し、貿易量の拡大に寄与するとの見通しを示している。

一方、韓国側にとっても、EU加盟候補国でありバルカン地域の物流・製造拠点であるセルビアとの連携は、サプライチェーンの安定化と新興市場へのアクセス確保の観点から不可欠であるとされている。ソン交渉担当官は、電気自動車(EV)、バッテリー、再生可能エネルギー分野での韓国企業の進出が進む中、CEPAは市場アクセスの改善とリスク軽減に重要な役割を果たすと述べている。

セルビアにおける韓国企業のプレゼンスは既に高く、自動車産業向けケーブル製造のユラ(Yura)やギョンシン・ケーブル(Kyungshin Cable)、LSグループ傘下のスペリオル・エセックス(Superior Essex)などが操業している。また、エネルギー分野では、韓国水力原子力発電(KHNP)との原子力・水素協力の覚書締結や、現代エンジニアリング(Hyundai Engineering)を含むコンソーシアムによる1ギガワット規模の太陽光発電所建設契約など、大型プロジェクトも進行中である。

セルビア商工会議所のデータによると、2024年のセルビアから韓国への輸出額は8200万ユーロ(主に銅鉱石・濃縮物)、輸入額は2億9500万ユーロ(主に電子部品・プラスチック製品)となっており、セルビア側には貿易不均衡の是正という狙いもある。 セルビアは現在、中国、EU、エジプト、トルコ、ユーラシア経済連合(EAEU)、英国、アラブ首長国連邦(UAE)などと自由貿易協定(またはそれに類する協定)を有しており、韓国とのCEPA締結は同国の全方位的な通商外交をさらに強化するものとなる。

(アイキャッチ画像出典:Ministarstvo unutrašnje i spoljne trgovine)

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