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セルビア、UAE通信大手とIT協力で合意-国家データセンター活用へ

9月8日、セルビア政府IT・電子政府局は、アラブ首長国連邦(UAE)の通信大手「e&」のデジタル変革(DX)部門である「e& enterprise」と、情報技術およびイノベーション分野での協力に関する了解覚書(MoU)をドバイで締結した。

セルビア政府プレスリリースによれば、この覚書は、IT・電子政府局のヨヴァノヴィッチ(Mihailo Jovanović)長官と、「e& enterprise」のムルシェド(Khalid Murshed)CEOによって署名された。協力の柱となるのは、セルビア中部クラグイェヴァツ(Kragujevac)に位置する国家データセンターの商業利用と共同での能力向上であり、デジタル化、イノベーション、スマートソリューション開発を支援することを目的としている。

「e& enterprise」は今回の合意に基づき、セルビア国家データセンターのサービス利用や容量拡大、設備投資、新技術開発に加え、グリーン経済やスマートシティ分野への将来的な投資を計画している。また、セルビアのスタートアップ・エコシステムに対しても、技術研究やイノベーション、知識移転を中心に支援を提供する意向を示している。

ヨヴァノヴィッチ長官は、「今回の協力は、セルビア政府による高度なデジタルインフラへの投資という先見性のある決定の正しさを裏付けるものだ。セルビアをデジタル化とイノベーションにおける地域リーダーとしてさらに位置づけ、ICTセクターの成長に貢献するだろう」と述べた。同長官によると、セルビアのICTセクターは最も急成長している分野であり、2025年上半期のICTサービス輸出額は前年同期比14%増の22億1700万ユーロに達している。

一方、ムルシェドCEOは、「我々のグローバルな経験とセルビア政府とのパートナーシップにより、セルビアのデジタル変革を加速させ、西と東の架け橋を築くとともに、スタートアップや銀行セクター、AI応用などの機会を拡大できる」と期待を表明した。

クラグイェヴァツの国家データセンターは2020年に開設され、OracleやIBM、Huaweiといった大手IT企業も利用している。

「e& enterprise」の親会社である「e&」は、近年Yettel Serbiaや有料テレビ・ブロードバンドプロバイダーのSBBを買収するなど、セルビア市場での存在感を高めている。

UAEの支援で電子政府サービスセンター開設へ

翌9日、ヨヴァノヴィッチ長官はドバイでUAE政府高官らと会談し、両国間のさらなる協力について協議した。セルビア政府プレスリリースによれば、会談では、ベオグラードのショッピングモール「ガレリア(Galerija)」に「eUprava(電子政府)サービスセンター」を設立する計画が話し合われた。このプロジェクトはUAE政府の支援と寄付によって実現するもので、2025年10月の開設が予定されている。

ヨヴァノヴィッチ長官は、「このサービスセンターは、市民が週7日、職員と直接対話しながら電子政府サービスに関する問題を解決できる初の施設となる」と述べ、両国の強固な友好関係の証であると強調した。

セルビアとUAEは、2024年10月に署名され2025年6月に発効した包括的経済連携協定(CEPA)を土台に経済関係を強化しており、2023年と2024年の二国間貿易額は約1億5000万ユーロに達し、セルビア側が黒字を計上している。

(アイキャッチ画像出典:Office for IT and eGovernment)

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