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コソヴォ憲法裁、議会副議長選出問題で組閣手続き停止を命じる

9月5日、コソヴォ憲法裁判所は、セルビア系政党「セルビア人リスト」(Srpska Lista, SL)からの申し立てを受け、9月30日まで政府組閣に向けた議会のいかなる活動も禁止する決定を下した。

憲法裁判所は現在、8月26日と28日に行われた議会会合の合法性について審査を進めている。この会合では、コソヴォ憲法によってセルビア系政党に議席が保証されている副議長の選出に至らなかった。

今年2月の総選挙で勝利した現与党「自己決定運動」(Lëvizja Vetëvendosje, LVV)所属で、新しく議会議長に就任したバシャ(Dimal Basha)氏は8月30日、議会の発足を宣言した。バシャ議長は、「5人の副議長のうち1人(セルビア系)の選出失敗が、コソヴォ共和国議会の設立を妨げる障害にはなり得ない」と主張していた。通常、議長が議会の発足を宣言すれば、政府を含む他の主要機関の設立への道が開かれる。

しかし、SLからの申し立てを考慮した憲法裁判所は、「国家機関の設立と憲法に反する決定の発効に関連するリスクや回復不可能な損害を避けるため」として、「選出された議員による全ての決定や行動、および政府組閣に向けたあらゆる手続きを停止する」よう命じた(事件番号KO265/25)。

SLは、8月26日と28日の議会会合において行われた少数派民族政党からの議会副議長選出手続きについて、違憲性を主張している。コソヴォ憲法第67条では、議会における5名の副議長のうち1名はセルビア系から、1名はセルビア系以外の少数派民族政党から選出することが義務づけられている。

SLは、セルビア系政党からの副議長選出手続きが、非セルビア系少数派民族からの副議長選出手続きと分離して実施されたことについて、議会規則における「副議長の選出は、選択的に分割する可能性なく、単一の手続きにおいて実施される」という規定に違反していると主張している。また、SLは同じ理由で、ボシュニャク系議員で元副首相のレジェピ(Emilia Redzepi)氏が副議長に選出されたことの合憲性についても審査を求めている。

コソヴォ暫定政府報道官であるクリエジウ(Perparim Kryeziu)氏は5日、メディアに対し、新政府が選出されるまで暫定政府が職務を継続すると述べた。「政府に関する法律第30条は、辞任した政府が、新政府が議会によって選出されるまで、同法に定められた制限に従ってその責任を行使し続けることを明確に規定している」と同氏は語った。

2月9日の総選挙以降、憲法裁判所が新議会の活動に見直しを求めるのは今回で4回目となる。6月27日には、議長選出を巡る膠着状態を打開するため、30日以内に議会を招集するよう命じていた。さらに8月8日には、議長選出のためさらに30日間の猶予を与え、同一候補者の指名を3回までに制限し、公開投票を命じる判断を下していた。

SLを巡っては、コソヴォ中央選管において、LVV側委員がSLの選挙参加に反対した結果、10月12日に投票実施予定の地方選挙についてSLの参加登録を否決する事態に至っており、欧米主要国がLVV側の姿勢を批判している。

(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)

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