憲法裁判所がアルバニア語の地位に関する合憲性判断を来年まで延期
12月11日、北マケドニア憲法裁判所はアルバニア語の公用語使用を拡大した2018年の言語法に関する違憲審査について、国際専門家の意見を聴取するため判断を延期すると発表した。
言語法は、北マケドニア人口の約4分の1を占めるアルバニア系住民のアルバニア語使用を、自治体や病院、裁判所などの公的機関で広く認めるものとなっている。これは、2001年の武力衝突を終結させたオフリド和平合意の下で必要とされてきた一連の法整備における、最後の課題とされている。
従来の法律では、アルバニア語は人口の20%以上がアルバニア系住民である自治体でのみ公用語としての地位を認められていた。言語法はこの地理的制限を撤廃し、全国でのアルバニア語使用を可能にするとともに、北マケドニアにおける正式な公用語としての地位を認めている。
この言語法に対しては2019年、40以上の個人や団体から13件の違憲審査請求が出されている。現与党の内部マケドニア革命組織・マケドニア国家統一民主党(VMRO-DPMNE)は、国益に反するとして同法に反対の立場を取っている。
これに対し、アルバニア系最大野党の民主統合同盟(DUI)は、「言語法の改正は多民族国家に取り返しのつかない影響を及ぼす」と主張し、アルバニア系支持者とともに、憲法裁判所前にテントを設営して抗議活動を続けている。一方で、VMRO-DPMNEの連立パートナーであるアルバニア系政党連合VLENは、「アルバニア語の地位は保護されるのでアルバニア人は何も不安になる必要はない。自身をアルバニア人の『救世主』に仕立てようとするDUIの試みは失敗するだろう」と述べている。
憲法裁判所のダルコ・コスタディノフスキ長官は「国際的な専門家から意見を聴取したうえで、1〜3カ月以内にこの問題についての判断を下す」と述べた。9人の裁判官のうち、アルバニア系2名は審理を欠席、トルコ系1名は審理延期の提案が却下されたため自ら除斥を申し出ていた。
北マケドニアは、旧ユーゴスラヴィアからの独立以来、マケドニア系政党とアルバニア系政党による連立政権を常に維持し続けてきたが、少数派であるアルバニア系住民の立場や権利を巡る問題は常に政治的な争点となってきている。2001年には、コソヴォ紛争の余波を受け、アルバニア系武装勢力と政府軍との間での武力衝突が発生した。この際にEU、NATO、OSCEの仲介によって成立したオフリド和平合意では、地方分権の推進、アルバニア系住民の自治権強化と権利向上等が掲げられており、アルバニア語の公用語化もその中に含まれていた。
(アイキャッチ画像はマケドニア語とアルバニア語が併記された首都スコピエの道路標識、出典:Shutterstock)
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