EUがセルビアの農業部門支援に2億8,800万ユーロを拠出
11月12日、セルビア政府とEUはセルビアの農業部門支援のため、新たに2億8,800万ユーロの資金提供協定を締結した。
協定署名式は西セルビアのミオニツァ近郊のトリッチ村で行われ、ジャウフレ(Emanuele Giaufret)EU大使、ミシュチェヴィッチ(Tanja Miščević)欧州統合相、マルティノヴィッチ(Aleksandar Maltinović)農業・森林・水管理相が出席した。
今回締結されたのは、EUの西バルカン支援スキームの一つである「第3次農村開発のための加盟前支援制度」(IPARDⅢ)であり、前身のIPARD IIと比較して支援額は約65%増となっている。セルビア政府の拠出金及び農業従事者自身の負担を合わせると、総額は5億8,000万ユーロを超える見込みとされている。
IPARDⅢによる支援は、セルビア全域において農業に従事する法人及び個人を対象としている。支援金は、設備・機械の取得、農業施設の建設・改修に活用できるが、対象事業の実施に際してはEUと同様の衛生基準、食品安全基準、動物福祉、環境保護基準を満たすことが求められる。
IPARDⅢによる支援を希望する農業従事者は、セルビア政府に対してプロジェクト案を提出し、審査を通過した事業者は農村部の農場における設備購入や施設整備への投資資金を獲得することが可能となる。セルビア政府発表によれば、すでに2件の公募が開始されており、セルビア全土の農業従事者から高い関心が寄せられている。
在セルビアEU代表部プレスリリースによれば、2001年以来、EUはセルビアの農業部門に1億5,000万ユーロ以上を支援しており、これとは別にIPARD IIを通じて1億7,500万ユーロがセルビアの農業部門提供された。これまでに17件の公募が実施され、1500件以上の契約が締結、1200件以上の支払いが完了している
EUはセルビアの農産物輸出の最重要な仕向け先となっており、セルビアの農産物輸出の半分以上がEU向けである。セルビアのEU向け農産物輸出は過去10年間で4倍に増加し、2009年の6億4,000万ユーロから2022年には24億ユーロに達した。一方、EUからの農産物輸入も2009年の4億4,000万ユーロから2023年には24億ユーロを超えるまでに増加している。
(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)
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