セルビア大統領がコソヴォ北部問題解決に向けた7項目の要求事項を提示
9月13日、セルビアのヴチッチ(Aleksandar Vučić)大統領は、コソヴォ情勢に関する臨時記者会見を行い、現在のコソヴォ北部情勢についての見解を示した。
セルビア政府プレスリリースによれば、ヴチッチ大統領は、「セルビアは経済的には急速に進展しているものの、コソヴォに関しては依然として困難な法的・政治的状況にある。コソヴォという言葉がセルビア人にとって非常に重い意味を持っているが、それゆえに無責任に使われることが多い。その結果、我々は無意味な状況に陥っている」と述べた。
ヴチッチ大統領はまた、「コソヴォ問題については、どのような措置を提案しあるいは実行したとしても、完全に満足する者はいない。一部の理性的な人々だけが状況を理解し、公正であろうとする姿勢を持っている」と述べ、セルビア人にとって満足のいく解決策は存在しないとの見解を示した。
ヴチッチ大統領は、コソヴォ問題に関するセルビアの今後の行動は、①現状への復帰、②コソヴォを特別社会保護地域に指定、③コソヴォにおけるセルビア系機関の強化、④コソヴォに関する特別検察局の設置、⑤コソヴォ独立宣言後にコソヴォ当局によって実施された措置の違法性の認定という5つの分野に分類されるとしたうえで、具体的には、次の7項目の措置の実施を求めると述べた。
1.OSCE及びEUが関与する下で、コソヴォ北部における公平且つ民主的な選挙の実施
2.2013年のブリュッセル合意第9条の履行と北部管区警察におけるセルビア人警察官の復帰
3.セルビア人裁判官及び検察官のコソヴォ司法機関への復帰
4.コソヴォ北部からのコソヴォ警察特殊部隊の撤収
5.セルビア人自治体共同体の即時且つ最終的な設立
6.コソヴォ当局に対する抗議運動等の理由で拘束されているセルビア人政治犯の釈放
7.セルビア人住民に対する決済及び郵便サービスの再開
ヴチッチ大統領は、コソヴォの特別社会保護地域指定、コソヴォ当局による違法行為の認定及びコソヴォ特別検察局設置に向けた立法作業がセルビア議会において進められており、45日以内に必要な立法措置が行われると述べている。
ヴチッチ大統領はまた、これらの措置は国際社会との対話や協力を通じて進められるものであると述べ、ヴチッチ大統領自身が、11月末まで続く世界的な外交キャンペーンを通じて、これらの措置を世界の60人の政治指導者に対し直接提示するとの意向を明らかにした。
コソヴォ政府は、2023年以降、セルビア系金融機関や郵便局の閉鎖、セルビア政府系事務所の閉鎖といった措置をコソヴォ北部において相次いで強行しており、セルビア人住民との間で緊張関係が高まっている。また、コソヴォ北部情勢の悪化を懸念する欧米主要国は、こうした一方的措置を繰り返し非難しているが、コソヴォ政府はそうした欧米からの批判を無視する形で一方的措置を繰り返してきており、コソヴォと欧米との関係も次第に悪化しつつある。
(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)
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