
米軍によるベネズエラ攻撃に対し西バルカン諸国の反応は分かれる:アルバニア・コソヴォ・北マケドニアは米国支持、セルビアは国際法秩序崩壊を指摘
2026年1月3日、トランプ(Donald Trump)政権下の米国がベネズエラに対して軍事作戦を実行し、マドゥロ(Nicolas Maduro)大統領とその妻を拘束したとの報道を受け、西バルカン諸国では反応が分かれている。米国との同盟関係を重視するアルバニアとコソヴォが即座に強力な支持を表明し、北マケドニアも米国支持の姿勢を鮮明にする一方、セルビアは国際法秩序の崩壊だとしてきた。また他の地域諸国は静観の構えを見せるか、あるいは自国民の安全確認に留めるなど慎重な姿勢を崩していない。
コソヴォとアルバニアは即座に米国への全面的支持を表明、北マケドニアも米国支持姿勢を示す
1月3日、アルバニアのスピロパリ(Elisa Spiropali)外相は、X(旧Twitter)上での声明において、アルバニアは「明確に米国と共に立つ」と述べ、トランプ大統領による対ベネズエラ行動を支持した。スピロパリ外相はマドゥロ政権を「麻薬テロリスト政権」と激しく非難し、ルビオ(Marco Rubio)米国務長官の指導力を称賛するなど、米国の軍事介入を権威主義や国際犯罪ネットワークとの戦いであると位置づけた。米国側は介入の正当性として、マドゥロ氏が麻薬カルテルを率いて米国へ薬物を密輸していると主張しているが、マドゥロ氏側はこれを否定している。
🇦🇱🇺🇲Albania unequivocally stands with the United States and @POTUS in their decisive actions against Venezuela’s narco-terrorist regime.
— Elisa Spiropali (@elisaspiropali) January 3, 2026
We support the strong leadership of @SecRubio in confronting authoritarianism, corruption, and transnational criminal networks.
The…
コソヴォのオスマニ(Vjosa Osmani)大統領も同日、米国およびトランプ大統領への確固たる支持を表明した。オスマニ大統領は、今回の米国の行動を「マドゥロの麻薬国家に対する抵抗」であり、組織犯罪から世界を守るための「アメリカのリーダーシップと強さの象徴」であると評価した。コソヴォの反応の背景には、1999年のセルビア軍に対するNATO(北大西洋条約機構)および米国の軍事介入によって解放されたという歴史的経緯がある。オスマニ大統領は「コソヴォは米国の決意の影響力を理解しており、我々の解放こそがその証である」と述べ、米国の軍事力行使を肯定的に捉えている。なお、ベネズエラはコソヴォの独立を承認していない国の一つである。
Kosovo stands firmly with the United States and President @realDonaldTrump in support of its actions against Venezuela’s narco-terror regime.
— Vjosa Osmani (@VjosaOsmaniPRKS) January 3, 2026
President Trump stood with the people of Venezuela and stood up to Maduro’s narco-state — protecting America and the rest of the world…
北マケドニアのミツコスキ(Христијан Мицкоски)首相は、首都スコピエでの記者団に対し、米国の軍事作戦とマドゥロ大統領の逮捕に対する「完全な支持」を表明した。 国際法違反の懸念があるとの指摘に対し、ミツコスキ首相は、過去にマケドニアが国名や国旗、憲法の変更を余儀なくされた際、国際社会が沈黙していたことを挙げ、 「過去にマケドニアとマケドニア国民に対して国際法が侵害された際、欧州やその他の国々が耳を塞ぐような沈黙を貫いていたことの方が懸念される。今になって突然、誰もが国際法違反を議論しているが、その問題は法律家に任せればよい」と述べた。ミツコスキ首相は、EUやNATO(北大西洋条約機構)への加盟に際して条件として北マケドニアが強いられた妥協や、2011年の国際司法裁判所(ICJ)による判決(ギリシャによるNATO加盟阻止は不当とする判断)が欧米諸国によって事実上無視された経験等に言及し、「これらこそが『真に悪い前例』であった」と主張した。その上で、「政府として、戦略的パートナーである米国の主張と行動を完全に支持する」と明言し、国際法上の正当性よりも米国との同盟関係を重視する姿勢を鮮明にした。
セルビアは「国際法秩序の崩壊」を指摘しヴェネズエラ市民への連帯を表明
セルビアのヴチッチ(Aleksandar Vučić)大統領は、米軍による攻撃を受け、直ちに国家安全保障評議会(National Security Council)を招集した。評議会終了後の会見において、ヴチッチ大統領は米国との友好関係を維持したい意向を示しつつも、今回の軍事行動を国際法違反であると断じ、世界秩序の変容について悲観的な見解を述べた。
ヴチッチ大統領は、「世界では古い秩序が崩壊しており、いかなるルールも適用されず、国際公法はもはや存在しない。国連の秩序は紙の上にしか存在しない」と指摘した上で、今回の事案は「米国の国内法が国際公法上の規範よりも優位に置かれ、支配している」実例であると分析した。 また、セルビアが困難な時期に支援を受けたとして、ヴェネズエラ国民への連帯を表明するとともに、「世界は今や『力の論理と強者の権利(pravo sile i pravo jačeg)』に支配されており、それが現代政治における唯一の原則だ」と語った。 この認識に基づき、ヴチッチ大統領はセルビアの安全保障について「我々は自分自身を頼りにしなければならない」と結論付け、自国防衛と準備態勢の重要性を強調した。
日本時間1月5日時点では、モンテネグロ及びボスニア・ヘルツェゴヴィナ要人からの本件に関する公式コメントは確認されていない。
今回の米国の行動に対し、西バルカン諸国は一枚岩ではなく、各国の歴史的経験や外交戦略に基づき対応が分かれた。特に、国際法秩序への不信感を共有しながらも、それを理由に「自立」を説くセルビア(ヴチッチ大統領)と、過去の不条理を理由に「米国への追随」を選んだ北マケドニア(ミツコスキ首相)の対照的な論理は、この地域が抱える複雑な地政学的現実を浮き彫りにしている。
(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)






























































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