
国連、西バルカン地域の経済成長率を2025年は2.4%に減速と推計、2026年は3.4%へ回復と予測
1月9日、国連経済社会局(UN DESA)は最新の「世界経済状況・予測(World Economic Situation and Prospects)」報告書を発表した。同報告書によると、西バルカン諸国を含む南東欧(SEE)地域の2025年の経済成長率は2.4%に減速したと推計される一方、2026年には3.4%まで回復すると予測されている。
2025年経済成長見通しの下方修正
国連は今回の報告書において、2025年半ば時点の予測と比較し、同地域の2025年のGDP成長率予測を0.8ポイント、2026年の予測を0.2ポイントそれぞれ下方修正した。 世界的な経済の不確実性が企業の信頼感や投資フローに重荷となり続けており、西バルカン地域の見通しも、国内および外部からの重大なリスクにさらされていると、国連は指摘している。
報告書では、地域経済の足かせとなっている要因として、ビジネス環境の厳しさや、人口の高齢化、国外への人口流出、労働年齢人口の減少といった構造的な課題が挙げられており、これらが経済発展のポテンシャルを制約していると指摘されている。
EU経済の停滞が西バルカンに波及
報告書によると、欧州連合(EU)経済の成長低迷が、西バルカン地域、特にボスニア・ヘルツェゴヴィナ、北マケドニア、セルビアといった輸出産業主導型の経済構造を有する国々に重くのしかかっている。 EUの経済成長率は、継続的な外的・構造的課題の中で、2025年の推定1.5%から、2026年には1.3%へと減速し、2027年に1.6%へ回復すると予測されている。主要貿易相手であるEU経済の減速が、西バルカン諸国の製造業や輸出に直接的な影響を及ぼしている形となっている。
国別の動向:セルビアの減速と回復、観光立国の躍進
国連は、地域最大の経済規模を持つセルビアについて、2025年の経済成長が弱まった要因として、農業生産の低下、投資活動の鈍化、そして政治的緊張の高まりを指摘した。一方で、自動車産業および情報技術(IT)部門においては前向きな進展が見られたとしている。2026年に関しては、ベオグラードで開催される国際認定博覧会「EXPO 2027」に向けた準備活動が建設産業を後押しし、全体的な成長回復に寄与することが期待されている。
対照的に、サービス業主導の経済であるアルバニアとモンテネグロは、2025年の好調な観光シーズンの恩恵を受けたとされており、特に8月の観光客到着数は記録的なレベルに達し、建設セクターも経済成長に大きく貢献した。
労働市場の改善と残る課題
報告書は、西バルカン地域における近年の労働市場状況の着実な改善を指摘しており、雇用の底堅い伸びと実質賃金の上昇が見られると述べられている。 しかし、依然として課題は残されており、特にボスニア・ヘルツェゴヴィナにおける失業率は極めて高い水準にとどまっている。また、若年層の高い失業率は地域全体に共通する広範な課題として継続している。報告書はまた、特に女性の労働参加率が依然として比較的低いことも指摘している。
気候変動リスクの存在:干ばつと水力発電
経済見通しに対する追加的なリスクとして、国連は、極端な気候現象、特に干ばつの頻度増加を挙げている。西バルカン諸国の多くは電力供給における水力発電への依存率が高い水準にあるため、降水量の不足は発電能力に悪影響を及ぼし、エネルギー安全保障や経済活動を脅かす可能性があると指摘されている。
西バルカン地域の経済は、2026年に向けて回復軌道にあるものの、主要な貿易相手であるEUの動向や気候変動の影響、そして国内の構造改革の進展が、今後の成長の鍵を握ることになると見込まれる。
(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)



























































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