汚職対策機構が汚職容疑で前首相の自宅軟禁措置を請求

12月12日付国内報道によると、アルバニア汚職組織犯罪対策特別機構(SPAK)は、同国のベリシャ(Sali Berisha)前首相に対する自宅軟禁措置の請求のため、同前首相の議員としての不逮捕特権の剥奪手続きを執るよう議会に請求した。ベリシャ前首相もSPAKの議会に対する請求が事実であると認める発言を行っている。

ベリシャ前首相は報道陣に対し、「自分に対する全ての嫌疑は、自分と敵対する政治勢力であるラマ(Edi Rama)首相らが仕組んだものであり、憲法違反の行いであるが、自分は議会のいかなる決定にも従う用意が出来ている。」と述べた。

出典:Euronews Albania 公式youtubeチャンネル

SPAKは今年10月に、ベリシャ前首相とその娘婿が旧国営複合スポーツ施設の民営化に際し不当な利益を得ていたとして、汚職の容疑で両者に対する刑事訴訟を提起しており、これ以降ベリシャ前首相に対しては出国禁止措置及び定期的な警察への出頭義務が課せられていた。しかしベリシャ前首相は、SPAKの捜査は政治的動機に基づく不当なものだとしてこの出頭義務に従わず、また公判も欠席していた。

ベリシャ前首相は、アルバニアの二大政党の一角である民主党の創設者かつ初代党首であり、民主化後のアルバニアにおいて、非共産党系政党から選出された政治家として初めて大統領(1992年~1997年)及び首相(2005年~2013年)を務めた。2013年の議会選挙で民主党が現与党の社会党に敗れて政権交代した後、民主党党首を辞任した。

ベリシャ前首相は79歳となった現在も現役の国政議会議員を務めており、議会最大野党である民主党の事実上の指導者であるが、民主党内部はベリシャ支持派と前党首のバシャ(Lulzim Basha)支持派によって二分されており、内紛が続いている。

米国政府は、2021年にベリシャ前首相について「深刻な汚職に関与した」人物であるとして、米国への入国禁止措置の対象者にしている。

(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)

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