
セルビア、IMFとのPCI第2次レビューでスタッフレベル合意-IMFは2026年のセルビア経済成長回復を予測
10月30日、国際通貨基金(International Monetary Fund, IMF)ミッションは、セルビアとの政策調整インストルメント(Policy Coordination Instrument: PCI)に基づく第2次レビューに関し、スタッフレベルでの合意に達したと発表した。この合意は、アネット・キョベ(Annette Kyobe)氏率いるIMFミッションが10月22日から30日までベオグラードで実施した協議に基づくものであり、今後IMF理事会による承認を経て正式なものとなる。
IMFミッションが発表したプレスリリースによれば、IMFは、セルビア経済の活動が、世界的な貿易摩擦、国内の抗議活動、政治的不確実性、石油会社NIS(Naftna Industrija Srbije)への米国による制裁措置、さらには農産物の不作による食料価格高騰など、複数の内外要因により鈍化していると分析した。2025年の経済成長率は、公共投資の減少、海外直接投資(FDI)の流入減、消費の冷え込みを反映し、2.1%に減速する見通しとなっている。インフレについては、食料品や生活必需品に対する政府の一時的な価格・マージン規制により、9月のインフレ率は2.9%に緩和した。
一方でIMFは、セルビア経済がマクロ面での強靭性を有しており、これらの一時的なショックが収まれば、成長は回復軌道に戻ると評価している。可処分所得の増加に支えられた家計支出、強靭な銀行部門、潤沢な外貨準備、低い公的債務が経済の安定を支えているとIMFは分析している。
2026年の成長率は、家計所得の継続的な増加、良好な信用状況、新たな製造業の輸出能力、NIS関連のエネルギー供給不安の解消などに伴い、3%に回復すると予測されている。ただし、インフレ率は2026年に緩やかに上昇する可能性があると見られている。経常収支赤字は対GDP比約6%まで一時的に拡大した後、中期的には縮小すると見込まれる。
経済見通しにおける下振れリスクとして、特にNIS問題の解決の長期化や国内の政治的緊張が経済活動を弱める可能性が指摘された。しかし、これらのリスクは、高い外貨準備や政府預金といった充実した財政面及び対外的なバッファーによって緩和されると見られている。
セルビア当局は、2025年から2027年にかけて財政赤字を対GDP比3.0%以内に抑える上限設定や、公務員給与と年金に関する特別財政ルールを堅持し、慎重なマクロ経済政策を維持する方針である。また、公共投資管理の強化、税支出報告書の作成、年金制度の保険数理調査、国有企業(SOE)や地方財政に関するデータ公表など、財政の透明性向上にも取り組んでいる。
エネルギー分野では改革が進展しているものの、エネルギー国有企業の財務的持続可能性と運営効率の確保には更なる努力が必要であるとされた。金融政策については、現状のスタンスは引き続き適切であると評価された。
IMFは、価格規制が2026年2月末までに予定通り段階的に廃止されるにつれ、インフレ上振れリスクに引き続き警戒するよう勧告した。セルビア当局はまた、NISへの制裁問題について、国内への石油製品の安定供給を確保する形で解決することにコミットしている。
(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)






































































 
 
 
 
 
 
 
 
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