
NISに対する米制裁回避に向け、ロシア側は第三者による経営を提案-セルビア政府も提案を支持
11月11日、セルビアのジェドヴィッチ=ハンダノヴィッチ(Dubravka Đedović Handanović)鉱業・エネルギー大臣は、国内唯一の石油精製所を運営するセルビア石油産業(Naftna industrija Srbije, NIS)のロシア側所有者(ガスプロム・ネフチ及びインテリジェンス社)が、経営権を第三者に移管する準備を進めていると発表した。これは、あと2週間足らずでセルビアを燃料不足陥らせる恐れがある米国の制裁措置について、新たな適用免除を得るための動きである。
ジェドヴィッチ=ハンダノヴィッチ大臣が自身のInstagramアカウントへの投稿で明らかにしたところによると、ロシア側は米国財務省外国資産管理室(Office of Foreign Assets Control, OFAC)に対し書簡を送付した。書簡では、NISの経営を引き継ぐ匿名の第三者との交渉が進行中であることを根拠に、NISの操業許可の延長を要請している。セルビア政府もこの要請を公式に支持したという。同大臣は、OFACが週内にも決定を下すことへの期待を表明し、「時間は迫っており、解決策を見出さねばならない。市民が燃料不足で苦しむようなことがあってはならず、また、そのようなことは起こらないだろう」と強調した。
これに先立ち、週末にはセルビアのヴチッチ(Aleksandar Vučić)大統領が、ロシア側と共に、米国政府に対して1ヶ月から3ヶ月間の制裁の新規免除を要請する意向を示していた。ヴチッチ大統領によると、NISが北部のパンチェヴォ(Pančevo)に有する製油所の現在の原油在庫は、11月24日までの操業分しかない状態であるとされている。
米国財務省は2025年1月、ロシアによるウクライナ侵攻を受け、ロシアのエネルギー部門を標的とする広範な制裁措置の一環として、ロシアのガスプロム・ネフチ(Gazprom Neft)やスルグトネフチェガス(Surgutneftegas)が関わるNISへの制裁を発表した。数度の延期を経て、この制裁は10月8日に発効していた。
なお、NISの株主構成は制裁発表後に変更されている。1月時点では、ロシア企業のガスプロム・ネフチとガスプロム(Gazprom)が合わせて56.15%を保有し、セルビア政府が29.87%を保有していた。しかし9月、ガスプロムは保有するNIS株(11.3%から1株を差し引いた分)を、ガスプロムの完全子会社であるガスプロム・キャピタル(Gazprom Capital)が管理するサンクトペテルブルク拠点のインテリジェンス(Intelligence)社に売却した。これにより、現在の株主構成はガスプロム・ネフチが44.85%、セルビア政府が29.87%、インテリジェンスが11.3%となり、残りを少数株主が保有している。
NISは、年間処理能力480万トンを誇るパンチェヴォ製油所を運営するほか、国内最大の328ヶ所のガソリンスタンド網を有し、約1万3,500人を雇用している。
(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)





































































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