EU:「コソボとセルビアの指導者は情勢悪化の責任を負うことになる」
8月14日、EUの外務省に相当する欧州対外行動庁(European External Action Service:EEAS)は、コソボとセルビアの政治指導者が相互に過激な言動を繰り返していることを非難する報道官声明を発表した。
報道官声明全文は次のとおり。
コソボ及びセルビアの指導者による最近の過激な発言の増加、特に西バルカンにおける戦争や紛争を示唆する発言を強く懸念する。
西バルカン地域における緊張の高まりと潜在的な暴力へと繋がるような事態のエスカレーションがあれば、コソボとセルビアの政治指導者はそれに対し責任を負うことになる。
両当事者は、相互の敵対的で危険な発言を直ちに止め、責任ある振る舞いをせねばならない。
全ての未解決の問題への取り組みは、EURが仲介するコソボ・セルビア間の関係正常化対話を通じてなれることになる。EUは、ボレル(Josep Borrell)上級代表の呼びかけによって8月18日にブリュッセルで開催されるブチッチ(Aleksandar Vucic)セルビア大統領とクルティ(Albin Kurti)コソボ首相のハイレベル対話の場において、両指導者がそれらの困難な議題を議論すると期待している。
EURが仲介する対話を通じて完全な関係正常化のための包括的且つ法的拘束力のある合意を達成するためには、信頼、和解及び善隣関係の回復に寄与し、過去に結ばれた合意が完全に履行され、西バルカン地域の利益及び戦略目標と合致しないような言動が許されないような環境が必要である。
EUコソボ法の支配ミッション(EULEX)を通じた活動を含め、EUは、コソボ国際安全保障部隊(KFOR)及び米国をはじめとした国際パートナーとの緊密な連携を保っている。
このEUの声明に対し、セルビアのブルナビッチ(Ana Brnabic)首相は、「戦争を煽っているのはコソボ側であり、そればかりかコソボはセルビア系コソボ住民の投票権行使を阻む等(※)、セルビア人の基本的人権を無視してきた。そもそも、ブリュッセル合意で約束されたセルビア系自治体連合は未だに創設されておらず、それに対してEUは何もしてこなかった。この声明は、まるでエイプリルフールのジョークのようである。」と述べ、これを非難している。
(※:2022年4月のセルビア総選挙の際に、コソボ領内での投票所設置をコソボ側が認めなかったことを指している。それ以前は、OSCE等の国際機関が関与することで、コソボ領内での投票が認められていた。)
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