
EIBの2025年の対西バルカン投資額は8億2,200万ユーロに増加
2月4日、欧州連合(EU)の政策金融機関である欧州投資銀行(European Investment Bank:EIB)は、2025年における西バルカン地域(アルバニア、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、モンテネグロ、北マケドニア、コソヴォ、セルビア)への投資実績を公表した。EIBプレスリリースによれば、EIBは昨年、融資、保証、および補助金を通じて総額8億2,200万ユーロを西バルカン諸国に投じており、これにより約15億ユーロの新規投資が誘発される見通しだとされている。前年(2024年)の6億9,300万ユーロを大きく上回る規模となった。
これらの資金は、交通インフラ、ヘルスケア、教育、エネルギー、および中小企業(Small and Medium-sized Enterprises:SMEs)の支援に充てられ、地域のエネルギー安全保障の強化、医療サービスの向上、および気候変動に強いインフラの構築に寄与するとEIBは述べている。
交通インフラとエネルギー安全保障への重点投資
投資全体の58%を占めたのは持続可能な交通インフラ分野であり、西バルカン投資枠組み(Western Balkans Investment Framework:WBIF)を通じたEUによる無償資金援助とともに、戦略的な鉄道網の近代化が推進された。主なプロジェクトには、アルバニアのデュレス(Durrës)〜ロゴジナ(Rrogozhina)区間(9,050万ユーロ)、セルビアのニシュ(Niš)〜ディミトロヴグラード(Dimitrovgrad)区間(1億3,400万ユーロ)、モンテネグロのバール(Bar)〜ゴルボヴツィ(Golubovci)区間(1億7,500万ユーロ)が含まれる。また、セルビアでは540キロメートルに及ぶ地方道路の安全性と気候耐性を高めるため、1億5,000万ユーロの融資が実行された。
エネルギー分野(投資額の13%)では、エネルギーの多様化と脱炭素化が優先事項とされた。ボスニア・ヘルツェゴヴィナのポクレチャニ(Poklečani)風力発電所(出力132MW)に対し1億300万ユーロの融資が署名されており、稼働後は年間約7万2,700世帯分の電力を供給し、二酸化炭素排出量を年間約44万7,000トン削減する見込みである。このほか、コソヴォのプリシュティナ(Priština)近郊での太陽光発電や、セルビアおよびボスニア・ヘルツェゴヴィナでの電力網拡張への投資準備も進められている。
社会インフラの近代化と中小企業支援
保健分野(投資額の20%)では、セルビアのベオグラード、クラグイェヴァツ(Kragujevac)、ニシュ、ノヴィ・サド(Novi Sad)にある主要な医療センターの設備近代化に1億5,700万ユーロが投じられた。また、ベオグラードのパリルラ(Palilula)区における下水道網整備には3,550万ユーロの補助金が提供され、環境保護と公衆衛生の向上が図られている。教育分野(投資額の4%)では、モンテネグロの教育システムのデジタル化支援や、ポドゴリツァ(Podgorica)におけるヴラディミル・ナゾル(Vladimir Nazor)学校の新設などが進められた。
中小企業の支援については、新たにイノベーション・GXファシリティ(Innovation and Green Transformation Facility)を立ち上げ、デジタル化や持続可能な農業、気候耐性技術への投資として1億8,700万ユーロ規模の融資と補助金を提供している。また、欧州投資基金(European Investment Fund:EIF)は「SMEレジリエンス・イニシアチブ」の下で790万ユーロの保証を署名し、約1億500万ユーロの資金調達を支援することで、5,750人の雇用を維持する計画となっている。
EU加盟への歩みと今後の展望
EIBのデ・フロート(Robert de Groot)副総裁は、2025年について、EUの西バルカン成長計画(Growth Plan)の下で、市場統合とEU加盟に向けたプロセスが顕著に進展した年であったと述べた。デ・フロート副総裁は、EIBの投資が交通接続性の向上、エネルギー安全保障、スキル開発、および気候変動への適応と密接に連動していることを強調し、新たにモンテネグロに代表事務所を開設したことで、同国の加盟に向けた支援をさらに強化したと言及した。EIBグループは今後、国境を越えたプロジェクトへの支援も強化し、地域全体の経済成長とEU基準への収束を加速させる構えである。
(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)





























































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