欧州委員会が北マケドニアのEU加盟進捗報告書を発表:ブルガリア系少数民族問題の早期解決を求める
10月30日、欧州委員会は、北マケドニアに関する2024年版のEU加盟交渉進捗報告書を公表した。
報告書において欧州委員会は、「北マケドニア西バルカン新成長計画を積極的に実施してきており、ガバナンス、行政改革、財政規律、グリーン・デジタル移行(GX・DX)、人材育成、民間部門の発展、基本的権利保護等の分野で進展を見せていると評価した。
欧州委員会は一方で、2022年7月のEU理事会結論文書において示された、ブルガリア系住民を含む北マケドニア国内の少数民族集団の地位を憲法上明記するという憲法改正の取り組みについて、進展が見られないと指摘した。欧州委員会は、「最近は、北マケドニア及びブルガリア両国の政治家の発言によって二国間関係が悪化している。対話と相互尊重の雰囲気を醸成するためのさらなる取り組みが必要である」と述べている。
ブルガリアは、北マケドニア憲法においてブルガリア系少数民族の地位に関する記述が無いことを理由に、2020年以来、北マケドニアのEU加盟交渉の進展を事実上ブロックしている。北マケドニアとブルガリアは、2022年に、北マケドニアが少数民族の地位を明記する形で憲法改正を行うことで合意しているが、北マケドニア国内での政治的抵抗によって、この合意は履行されていない。
今年5月の総選挙に勝利し政権交代を果たした内部マケドニア革命組織・マケドニア国家統一民主党(VMRO-DPMNE)を中心とする現ミツコスキ(Христијан Мицкоски)政権は、ブルガリアとの合意の見直しを進める意向を示唆しており、北マケドニアのEU加盟交渉のさらなる停滞も予想される。
こうした背景から、EUは2023年9月に、それまで一体のものとして扱ってきた北マケドニアとアルバニアのEU加盟交渉プロセスを切り離し、アルバニアのEU加盟交渉を先行して進める決定を下している。
(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)
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