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米国の制裁猶予措置を受けNISへの原油供給が再開

1月13日、クロアチアの石油パイプライン運営会社ヤナフ(Jadranski naftovod:JANAF)は、セルビアの石油大手であるセルビア石油産業(Naftna Industrija Srbije:NIS)が運営するパンチェヴォ(Pančevo)製油所への原油供給を再開した。これは、米国財務省外国資産管理局(Office of Foreign Assets Control:OFAC)が1月23日を期限とする暫定的な営業許可を付与したことを受けたもので、昨年10月9日に制裁措置が完全に適用されて以来、約100日ぶりの供給再開となる。

セルビアのジェドヴィッチ=ハンダノヴィッチ(Dubravka Đedović Handanović)鉱業・エネルギー相が1月12日に明らかにしたところによれば、ヤナフ経由で今週中に約8万5000トン、来週にはさらに3万5000トンから4万5000トンの原油がパンチェヴォ製油所に届く見通しとなっている。これに伴い、先月から操業を停止していた同製油所は1月16日頃に稼働を再開し、同月26日から27日頃には生産されたディーゼル燃料が国内市場に供給される予定とされている。

今回の供給停止は、NISの株式の56.15%をロシアのガスプロム・ネフ(Gazprom Neft)およびその関連企業が保有していることに対し、米財務省が2025年1月に発表した制裁が昨年10月に発効したことに起因する。OFACは制裁措置の完全な免除の条件としてロシア資本の完全撤退を求めており、ロシア側持ち分の売却に向けた交渉期限を3月24日に設定している。現在、NISはセルビア国内燃料需要の8割を供給し、1万4000人の従業員を抱えるセルビア経済の要となっているため、その所有権を巡る動向が注視されている。

今後の焦点はロシア側株式の売却先に移っている。ジェドヴィッチ=ハンダノヴィッチ大臣は、ハンガリーの石油大手モル(Magyar Olaj- és Gázipari Nyrt.:MOL)がNISの資産査定(デューデリジェンス)を開始したことを認めている。

また、アラブ首長国連邦(UAE)を訪問中のヴチッチ(Aleksandar Vučić)大統領は、アブダビ国立石油公社(Abu Dhabi National Oil Company:ADNOC)も有力な候補であることを示唆した。ヴチッチ大統領によれば、ロシア側の持ち分をMOLとADNOCの2社で分割して取得する可能性も検討されており、セルビア政府自身も現在の保有比率(約29.87%)に加えてさらに5%の株式を追加取得することに意欲を示している。

セルビア公共放送RSTの番組に出演したエネルギー専門家のマルコヴィッチ(Željko Marković)氏は、供給再開は国内市場の安定にとって極めて適切なタイミングであると評価している。同氏によれば、資産査定から最終的な合意に至るまでのプロセスには通常2か月から6か月を要するが、交渉が順調に進展していると判断されれば、OFACによる暫定免許も再延長される可能性が高いと考えられている。複数の買い手が現れることは市場での影響力分散の観点から合理的であり、セルビア政府による買い増しを含めた新たな資本構成の確立が、制裁解除と安定供給の両立に向けた鍵となる。

(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)

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