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モンテネグロのバール・ゴルボヴツィ鉄道改修事業に対しにEUが1億7,500万ユーロを投融資

12月29日、欧州連合(EU)は、モンテネグロのバール(Bar)とゴルボヴツィ(Golubovci)を結ぶ全長39キロメートルの鉄道区間の近代化を支援するため、総額1億7,560万ユーロの資金パッケージを提供することを発表した。この支援は、欧州投資銀行(EIB)の国際開発部門であるEIBグローバル(EIB Global)による6,300万ユーロの融資と、西バルカン投資枠組み(WBIF:Western Balkans Investment Framework)を通じて欧州委員会が拠出する1億1,260万ユーロの贈与(グラント)で構成される。

モンテネグロ政府プレスリリース及びEIBプレスリリースによれば、今回のプロジェクトの対象となる鉄道区間は、セルビアの首都ベオグラード(Belgrade)とアドリア海の主要港であるバール港を結ぶ「鉄道ルート4号線(Rail Route 4)」の重要な一部となる。この路線は汎欧州運輸ネットワーク(TEN-T:Trans-European Transport Network)の中核部分を構成しており、西バルカン地域と中欧を繋ぐ物流の動脈として位置づけられている。EIBによれば、この改修工事によって列車の運行速度が向上するほか、信頼性、安全性、輸送能力の劇的な改善が見込まれている。完工後は、年間130万人の旅客と185万トンの貨物を収容可能となり、道路から鉄道への転換を促すことでモンテネグロのグリーン移行(GX)を推進する狙いがある。

EIBのデ・フロート(Robert de Groot)副総裁は、本合意によりモンテネグロの運輸部門に対するEIBの支援総額が5億ユーロに達することを強調した。デ・フロート副総裁は、この投資がモンテネグロの基幹インフラをEU基準に適合させ、同国のEU加盟プロセスを加速させる具体的な一歩になると述べている。また、地域的な繋がりを強化することで、貿易や観光を活性化し、より統合された地域共通市場の構築に寄与するとの期待を示した。

また、サトラー(Johann Sattler)駐モンテネグロEU大使は、現代的で持続可能なインフラがモンテネグロの欧州における未来の中核であると言及した。サトラー大使は、「EUの納税者による過去最大級の単独贈与支援とパートナー機関の協力により、長年待ち望まれていたバール・ゴルボヴツィ間鉄道の改修がついに開始される」と述べ、地域およびEUとの経済統合の強化に期待を寄せた。

モンテネグロのヴコヴィッチ(Novica Vuković)財務相は、EIBとの融資契約の締結は、鉄道セクターにおける重要プロジェクトのための安定的かつ有利な資金源を確保したことを意味すると評価した。ヴコヴィッチ財相は、この融資枠組みが同国の中期財政政策および公的債務管理戦略と完全に整合しており、開発上の重要性が高いプロジェクトの実施を可能にすると述べた。

またモンテネグロのヴキチェヴィッチ(Maja Vukićević)運輸相は、今回のプロジェクトを過去数十年のモンテネグロ鉄道インフラにおける最も重要な投資の一つと位置づけた。ヴキチェヴィッチ運輸相は、バール・ベオグラード鉄道回廊が同国の持続可能な輸送の屋台骨であり、この近代化が西バルカンとEUを繋ぐ輸送ハブとしてのモンテネグロの役割を強化するとの見通しを示した。

プロジェクトの総事業費は、付加価値税(VAT)を除いて2億3,080万ユーロと見積もられている。EUとEIBからの資金に加え、2026年には欧州復興開発銀行(EBRD:European Bank for Reconstruction and Development)から5,000万ユーロの融資を受ける予定であり、残りの約520万ユーロはモンテネグロ政府の自己資金で賄われる。完工は2030年6月末を予定している。

(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)

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