
日・セルビア投資協定が署名される:二国間経済関係と法的な投資保護の強化へ
12月24日、セルビアの首都ベオグラードにおいて、日本国政府とセルビア共和国政府との間で「投資の促進及び保護に関する日本国とセルビア共和国との間の協定(日・セルビア投資協定)」の署名が行われた。署名は、日本の今村(Akira Imamura)駐セルビア特命全権大使と、セルビアのラザレヴィッチ(Jagoda Lazrević)通商大臣との間で行われた。日本外務省プレスリリースによれば、本協定は、両国間の経済関係を強化し、投資を更に促進することを目的としており、投資家が他方の国において投資を行う際の安定的な条件を作り出すことを意図している。

セルビア政府プレスリリースによれば、署名に際し、ラザレビッチ通商大臣は、本協定が経済協力の更なる発展と投資家への法的な安定性を確保する上で極めて重要であると強調した。また、日本はセルビアにとって非常に重要な投資家であり、新しい技術や高い基準、労働倫理を持つ日本企業からの投資協力が今後さらに進展することへの期待を表明した。今回の合意は、本年9月にヴチッチ(Aleksandar Vučić)セルビア大統領による訪日などの集中的な外交活動の成果であるとともに、成功裏に幕を閉じた2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)でのセルビア・パビリオンにおける交流が、二国間関係を深化させた一因として挙げられている。
また今村大使は、本協定が法的安定性を高めることで、日本企業に対しセルビアにおける資産と投資が保護されているという確信を与えるものであると述べるとともに、この文書が環境保護や循環型経済、持続可能な開発の原則を促進することにも寄与するとの見解を示した。
外務省ウェブサイトで公表された協定全文によれば、本協定の内容は、投資財産への待遇や紛争解決手続を詳細に定めた包括的なものとなっている。主な規定として、投資活動に関し、自国の投資家や第三国の投資家と比較して不利な扱いをしない内国民待遇(NT)および最恵国待遇(MFN)が規定されている 。また、国際慣習法に基づく公正かつ衡平な待遇(FET)や、十分な保護及び保障を与えることが義務付けられた 。さらに、一定の輸出割合や現地調達を義務付けるといった「特定措置の履行要求(パフォーマンス要求)」の禁止も盛り込まれている 。
投資財産の保護に関しては、公共の目的や非差別などの要件を満たさない限り、収用または国有化を行うことが禁じられており、実施される場合も迅速かつ実効的な補償が求められる 。加えて、投資に関連する資金の移転を自由かつ遅滞なく行うことを確保する規定や、投資家と締約国との間の投資紛争を国際仲裁に付託する手続も整備されている 。
本協定は、今後両国の国内手続(日本側は国会承認が必要)を経て、互いの通告が完了した日の後30日目に効力を生ずる予定となっている。西バルカン地域で最大の経済規模を持ち、安定した成長を続けるセルビアにおいて、本協定の締結は日系企業による投資環境を一層整備し、二国間の経済的な結びつきをより強固にするものと期待されている。
(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)






























































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