
セルビア政府、2026年予算案を承認 ― 2027年ベオグラード万博投資と生活水準向上が柱
11月6日、セルビア政府は2026年予算法案を承認した。マーリ(Siniša Mali)財務大臣兼第一副首相は、同予算案が2027年のベオグラード万博(EXPO 2027)開催に向けた「未来への飛躍 – セルビア 2027(Skok u budućnost – Srbija 2027)」プログラムの推進と、国民の生活水準の継続的向上が主要な目的であると述べた。
財政・経済見通し
財務省プレスリリースによれば、2026年の歳出総額は2兆7517億ディナール(約235億ユーロ)が計画され、財政赤字は国内総生産(GDP)の3%に相当する3370億ディナール(約28.8億ユーロ)と見込まれている。政府は、経済成長率について2026年に3%、2027年には4.5%から5%への加速を予測している。公的債務残高の対GDP比は2026年末時点で44.5%と、国際通貨基金(IMF)との合意に基づき安定的な水準を維持する方針である。
重点投資
総額178億ユーロ規模の「未来への飛躍」プログラム(全323プロジェクト)に基づき、2026年は6020億ディナール(約51億ユーロ)の資本支出が予定されている。最大の配分先はEXPO 2027関連で475億ディナール(約4億ユーロ)が計上された。その他、ベオグラード・ブダペスト間鉄道(147.7億ディナール)、ニシュ(Niš)・ディミトロヴグラード(Dimitrovgrad)間鉄道改修(108.7億ディナール)、ベオグラード市内のカラジョルジェヴァ(Karađorđeva)通りからドナウ川斜面に至るトンネル建設(50億ディナール)、ベオグラード・サラエヴォ(Sarajevo)間道路(40億ディナール)などの主要インフラプロジェクトが盛り込まれた。
生活水準向上策
予算案には、2026年1月1日から公共部門の賃金を5.1%引き上げることが含まれている。マーリ大臣によれば、これにより2025年からの累積上昇率は教育分野で28.6%、医療分野で19.2%となる。また、最低賃金も2026年1月に551ユーロへ引き上げられる予定で、平均賃金は2025年12月にも月額1000ユーロを超える見通しとなっている。さらに、若者向けの住宅ローン保証制度も継続され、追加で2億ユーロが確保される。
資金調達計画
2026年には、財政赤字3370億ディナールに加え、満期を迎える債務の返済(利子含む)8090億ディナールが発生するため、合計1兆1460億ディナール(約100億ユーロ)の資金ギャップが生じる見込みとなっている。政府はこれを賄うため、国内外の銀行からの融資(最大3800億ディナール)、国内市場での国債発行(最大3200億ディナール)、ユーロ債発行(最大2600億ディナール)など、合計で最大9700億ディナールの借入を計画している。また、国営電力会社(EPS)が計画する大規模太陽光発電所建設のための融資(2227億ディナール)に対し、国家保証(最大3980億ディナール枠の一部)を付与することも盛り込まれた。
マーリ大臣は、セルビア石油産業(Naftna industrija Srbije, NIS)からの物品税収入として2440億ディナールを見込んでいることや、EXPO 2027には既に127カ国(日本を含む)が参加を表明していることにも言及した。予算案は今後、議会での審議を経て承認される見通しである。
(1ユーロ=117.18ディナール)
(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)





































































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