セルビア

セルビア関連ニュース

スウェーデン、汚職や法の支配の懸念によりセルビア政府への支援を一部停止-セルビア政府は厳しく反論

11月4日、スウェーデン政府は、「西バルカン及びトルコに関する改革協力戦略」の枠組みにおいて、セルビアへの支援を調整(変更)する決定を下したと発表した。この決定により、セルビアの政府機関に対する支援の一部が取り下げられ、代わりに市民社会の強化に重点が置かれることになる。

スウェーデン外務省プレスリリースによれば、スウェーデンのドゥーサ(Benjamin Dousa) 国際開発協力・対外貿易大臣は、この変更について「セルビアの発展は、汚職の増大から法の支配の原則が守られていないことに至るまで、間違った方向に向かってきた」と指摘した。ドゥーサ大臣はまた、「我々が期待する改革や発展を実現しない国は、スウェーデンからの支援を期待することはできない」と述べ、法の支配の堅持、汚職との闘い、表現の自由や報道の自由といった基本的権利の保護においてセルビアは後退がみられると説明した。

これに対し、セルビア外務省は同日、遺憾の意を表明するプレスリリースを発表した。セルビア外務省は、スウェーデン側の立場が「実際の状況も、両国間に長年存在してきたパートナーシップの精神も反映していない」ものであると反論した。さらに、「セルビアは主権国家であり、憲法、法律、欧州の公約に従って改革を実施しているのであり、圧力、条件付け、政治的レッテル貼りによるものではない」と強調し、「説教や条件付け、内政干渉の試みを意味するアプローチは断固として拒否する」と付け加えた。

スウェーデンの同戦略は2021年から2027年まで適用され、西バルカンとトルコ全体で総額56億スウェーデン・クローナ(約5.1億ユーロ)の支援を、主にスウェーデン国際開発協力庁 (SIDA) を通じて提供している。スウェーデン政府が公表しているデータによれば、SIDAは2024年にセルビアに対し39のプロジェクトで合計1億5200万スウェーデン・クローナ(約1,381万ユーロ)を拠出しており、うち2700万クローナ(約245万ユーロ)がセルビア政府向けであった。

2012年からEU加盟候補国であるセルビアは、汚職対策の遅れや法の支配、メディアの自由に関する改革の停滞について、EUから繰り返し批判を受けている。先月ベオグラードを訪問した欧州委員会 (European Commission) のウルズラ・フォン・デア・ライエン (Ursula von der Leyen) 委員長も、EU加盟に向けては法の支配、選挙手続き、メディアの自由などで進展が必要だと強調していた。

欧州委員会が今年7月に発表した「2025年法の支配報告書」でも、セルビアの司法、汚職対策、メディアの自由などにおける制度的欠陥が指摘されている。セルビア国内では、第2の都市ノヴィ・サド (Novi Sad) での鉄道駅事故をきっかけとした反政府・反汚職抗議デモが1年にわたり続いている。

(1ユーロ=11スウェーデン・クローナ)

(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)

関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。