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セルビア議会、米国クシュナー氏主導の旧国防省跡地再開発事業について特別法案審議へ

11月2日、セルビア議会は、首都ベオグラードの旧ユーゴスラヴィア国防省(通称:Generalštab)跡地における再開発プロジェクトの実施を迅速化するための特別法案を、11月4日から審議する予定であると発表した。このプロジェクトは、米国のドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領の義理の息子であるジャレッド・クシュナー(Jared Kushner)氏の投資会社が主導している。

議会によると、法案は250議席中110名の議員によって提出された。法案は、同プロジェクトの実施をセルビアの全体的な経済発展にとって重要であると位置づけ、関連する全ての手続きを緊急案件として扱うよう定めている。これにより、国および地方自治体の関連機関は、遅滞なく許可等を発行することが義務付けられる。

Generalštabは1999年のNATOによる空爆で甚大な被害を受けたが、元々は文化遺産として保護されていたため再開発が不可能だった。しかし、セルビア政府は2024年11月、この保護を解除する決定を下した。これは、同年5月に当時のインフラ省がクシュナー氏が所有する投資会社アフィニティ・グローバル・デベロップメント(Affinity Global Development)と99年間のリース契約を締結したことを受けた動きであると見られている。

2025年7月時点での旧国防省跡地、出典:Shutterstock

総額5億米ドル規模とされるこの計画には、高級ホテル、1,500戸の住居、博物館の建設が含まれている。クシュナー氏の会社は、このプロジェクトにおいてトランプ氏所有のトランプ・オーガニゼーション(Trump Organization)や、アラブ首長国連邦の実業家モハメド・アリ・アラバル(Mohamed Ali Alabbar)氏の所有する不動産投資会社であり、ベオグラード市内の大規模開発事業を手がけているイーグル・ヒルズ(Eagle Hills)と提携している。

一方で、このプロジェクトに対しては国内で反対運動も起きており、2025年3月のNATO空爆26周年の際には、数千人規模の市民がGeneralštab前で抗議デモを行った。また、2025年5月には、組織犯罪担当検察庁が、国立文化財保護研究所の元所長ゴラン・ヴァシッチ(Goran Vasić)氏が、政府による保護解除の決定根拠となった提案書を偽造した容疑を認めたと発表しており、この」捜査は現在も継続中となっている。

(アイキャッチ画像出典:Kalamanda.ph via WikiCommons, CC 4.0)

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