セルビア

セルビア関連ニュース

米国がNISに対する制裁適用を9月27日まで延期-6度目の制裁延期措置

8月26日、米国財務省(U.S. Department of the Treasury)は、セルビアの石油大手であるセルビア石油産業(Naftna Industrija Srbije, NIS)に対し、事業継続を可能とする新たな特別ライセンスを発行した。これにより、米国による対ロシア制裁のNISに対する全面的な適用が2025年9月26日まで延期されることとなる。

NISのプレスリリースによれば、この措置は米国財務省外国資産管理室(Office of Foreign Assets Control, OFAC)によるものであり、NISにとっては6度目の制裁適用除外となる。米国は今年1月にNISを制裁対象に指定したが、その後、これまで5度にわたって制裁の適用を猶予する決定を下してきている。

NISは、ロシアのエネルギー企業であるガスプロム・ネフチ(Gazprom Neft)が44.85%、ガスプロム(Gazprom)が11.30%の株式を保有しており、ロシア資本が過半数を占めている。そのため、米国による対ロシア制裁の対象となっており、ベオグラード証券取引所は2025年1月14日にNIS株の取引を停止している。

今回の制裁猶予措置と並行し、クロアチアの石油パイプライン運営会社ヤドランスキ・ナフトヴォド(Jadranski naftovod, JANAF)も、NISへの原油輸送継続について米国から許可を得た。セルビアは現在、原油輸入をJANAFパイプラインに全面的に依存しており、この許可はセルビアのエネルギー安全保障にとって極めて重要といえる。JANAFとNISは、2024年1月1日から2026年12月31日までの期間に1,000万トンの原油を輸送する契約を結んでいるが、制裁が完全に施行されれば、この契約は履行不可能となる。

セルビアのジェドヴィッチ=ハンダノヴィッチ(Dubravka Đedović Handanović)鉱業・エネルギー相は自身のInstagramアカウントへの投稿で「この措置によって(NISが所有する)パンチェボの製油所は継続的に操業し、安定的な石油の供給が維持できる。地政学的な状況は複雑なままだが、我々はエネルギー安全保障と石油の安定供給確保のために戦い続ける」と述べた。同大臣はまた、最終的な目標はNISをOFACの制裁リストから完全に除外することであるとの認識を示している。

米国の制裁リストからのNISの完全な除外を目指すセルビア政府は、OFACが定める経営要件を満たすため、セルビア政府指名の役員をNISの副会長に任命するなど経営体制の改革に取り組んでいる。NISは2025年3月14日に、米国財務省の特別指定国民(Specially Designated Nationals, SDN)リストからの正式な除外申請を行っており、セルビア政府とともに、引き続き米国財務省と協力していく姿勢を示している。

(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)

関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。