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コソヴォ議会、議長選出失敗で政治的膠着続く:新政権発足は依然不透明で再選挙の可能性も

コソヴォでは2025年2月の議会選挙から2カ月以上が経過した現在も、新政権の発足が実現していない。議会は4月下旬までに6回にわたり議長選出を試みたが、いずれも必要な過半数(61票)を確保できず、政治的な膠着状態が続いている。

最新の情勢

4月25日、コソヴォ議会は再び議長選出に失敗した。与党「自己決定運動(LVV)」が推薦したハジウ(Albulena Haxhiu)法相は、必要な61票に届かず前回と同じく57票にとどまった。主要野党であるコソヴォ民主党(PDK)、コソヴォ民主同盟(LDK)、コソヴォ将来同盟(AAK)、セルビア人少数派のセルビア人リスト(SL)などは、与党案に反対票を投じている。

議会規則上、議長が選出されなければ議会は正式に構成されず、新議員の宣誓や新政府の発足、法案審議も進められない。このため、現状では暫定内閣が引き続き職務を担っている。

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政治的膠着の背景と今後のシナリオ

今回の選挙では、クルティ(Albin Kurti)首相率いるLVVが最多の48議席を獲得したものの、単独過半数には届かなかった。クルティ首相は3月27日付で正式に辞任し、議員として新たな任期に入っているが、新政権樹立のための与野党協議は難航している。

野党各党はLVVとの連立を拒否しており、現時点で安定多数の組み合わせは見えていない。特にPDKやLDKは「議長職や首相職を譲る意思がなければLVVには協力しない」との方針を明言している。専門家の間では、現状のまま膠着が続けば、議会の解散と再選挙が早ければ5月にも実施される可能性が高いとの見方が強まってきている。

コソヴォの政治的停滞は、セルビアとの関係正常化やコソヴォの欧州連合(EU)加盟交渉の進展にも悪影響を及ぼしている。EUはコソヴォ北部のセルビア人住民とコソヴォ政府との緊張関係を懸念し、コソヴォに対し実質的な制裁措置を現在も科している。

議会が引き続き議長選出に失敗すれば、憲法上の規定により議会の解散と新たな選挙が現実味を帯びてくる。現地メディアや政治アナリストは「どの政党も譲歩する気配がなく、現状打開は容易ではない」と指摘している。

(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)

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