アルバニアが国内家庭向け電気料金を引き下げ

1月8日、アルバニア政府は、国内の家庭向け電力料金引き下げを決定した。

臨時記者会見を開いたラマ(Edi Rama)首相は、35年ぶりの電力料金引き下げとなるこの決定は、「痛みを伴う改革の果実を共有する」政府の原則を体現するものだと述べた。

ラマ首相は、今回の料金改定が「地域および欧州全体のエネルギー価格上昇トレンドに逆行する」ことを認めたうえで、「アルバニアのエネルギー主権を確立し、電力の純輸出国になることを目指す」ための戦略的な政策であると述べた。ラマ首相によれば、アルバニアは、エネルギー自給率の向上と再生可能エネルギーへの積極的な投資により、この決定を可能にした。

ラマ首相によれば、アルバニア国内のエネルギー生産は大きく変化しており、民間の太陽光発電能力が西バルカン地域最大規模の196メガワットに到達し、またエネルギー生産の10%を太陽光発電によって供給するといった成果をこれまでに上げている。

ラマ首相は、この料金引き下げを単なる経済政策以上のものと位置づけており、エネルギー部門の改革、電力窃盗の撲滅、効率的な料金徴収システムの構築など、長年の努力の結果であると強調した。

バルク(Belinda Balluku)副首相兼インフラ・エネルギー大臣が自身のFacebookアカウントへの投稿において述べたところによれば、今回の電力料金引き下げにより、国営配電事業者OSHEEの契約者の約95%にあたる約100万世帯が恩恵を受けることになるとされている。

新たな料金体系では、月間消費電力量が700キロワット時(KWh)以下の世帯に対して、電力単価を従来の1KWhあたり9.5レク(約0.1米ドル)から8.5レクに引き下げられる。一方、700kWhを超える消費については、従来通り9.5レクの料金が維持される。

この料金引き下げの背景には、国内の電力生産増加と送配電ロスの削減がある。OSHEEはエネルギー規制庁(ERE)に対して、2月からの新料金体系適用を申請している。

バルク大臣は今回の料金改定の目的について、国内のエネルギー効率改善と消費者負担の軽減であると説明している。

アルバニア政府は2025年のアルバニアの経済成長を4%と予測しており、電力料金引き下げはその成果を国民に還元する象徴的な施策となっている。ラマ首相は、これを「アルバニアがこれまでとは異なる国になった証」であると表現し、エネルギー消費の増加が経済成長を反映していると説明した。

アルバニア政府は、2030年までにエネルギー自給率100%を達成するという目標を掲げており、今回の電力料金引き下げは、その実現に向けた重要なステップとして位置づけられている。

(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)

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