欧州委員会がセルビアのEU加盟進捗報告書を発表:EU共通外交政策との協調とコソヴォとの関係正常化を求める

10月30日、欧州委員会は、セルビアに関する2024年版のEU加盟交渉進捗報告書を公表した。

その中で、欧州委員会は、「セルビアは2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻以降、EUが実施したロシアに対する制裁措置に同調していない。さらに、ロシアとの高度な関係を維持し、中国との関係も強化している状況にあり、その戦略的方向性に疑問が投げかけられている」と指摘し、セルビアに対し、対ロシア政策を始めとしたEU共通外交政策との協調を求めた。

また報告書では、セルビアに対するEUからのその他の要求事項として、コソヴォとの関係正常化に向けた建設的な取り組み、法の支配に関する改革の推進、セルビア国内世論に向けたEUとEU加盟交渉に関する積極的かつ客観的な広報の取り組み、国内メディアにおける偽情報対策、化石燃料依存からの脱却と脱炭素化の推進、大規模公共事業に伴う調達手続きの透明性確等が挙げられている。

欧州委員会は、セルビアのEU加盟交渉の状況について、「2023年12月の議会選挙とその後の組閣プロセスに伴う議会の中断によって、EU加盟に向けた国内改革のペースが遅れている。セルビアはクラスター3(競争力と包括的成長)の交渉開始基準は3年連続で満たしているものの、実際の交渉開始については、EU加盟国の全会一致による承認が必要であり、加盟国間のコンセンサス形成を持っている状態にある」と評価した。

セルビアは2010年にEU加盟候補国となり、2012年より加盟交渉を開始している。これまでに35の政策分野(チャプター)のうち22のチャプターについて交渉を開始し、このうち2つについて交渉を妥結している。

(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)

関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。