セルビアとイスラエルの大統領がFTA締結の方針で合意

9月11日、セルビアを訪問したイスラエルのヘルツォグ(Isaac Hercog)大統領と会談したヴチッチ(Aleksandar Vucic)大統領は、セルビアとイスラエルが可能な限り早期に自由貿易協定(FTA)を締結するという方針で合意したと表明した。

セルビア大統領府プレスリリースによれば、会談後の記者会見において、ヴチッチ大統領は、「可能な限り速やかにFTAを締結することが我々にとって極めて重要であり、それは両国に利益をもたらす」と述べた。ヘルツォグ大統領も、「両国間の経済関係は大きな発展可能性を秘めており、FTA締結はそのための究極的な目標である」と述べた。

ヴチッチ大統領はまた、「両国間には、AIをはじめとした技術革新、科学技術、農業といった分野での大きな協力可能性が開かれている。また、イスラエルからセルビアへの投資促進も重要である」と述べた。これに対しヘルツォグ大統領は、「セルビアは欧州の中心、西と東の間に位置しており、優れた人材と高い経済成長率によって、魅力的な投資先となっている」と述べた。

会談後の記者会見では、ヴチッチ大統領が「ヘルツォグ大統領に対し、コソヴォにおけるセルビア人の置かれた状況について説明するとともに、国際法と国連憲章を尊重することの重要性につちえ議論した」と述べる一方、ヘルツォグ大統領からは、ハマスによるテロ行為をセルビアが非難したことについての謝意が述べられた。また両大統領からは、ハマスによって誘拐され人質となっているセルビア・イスラエル二重国籍者の解放を求める発言があった。

セルビアは旧ユーゴ時代にパレスチナを国家承認している一方、イスラエルとも緊密な関係を築いている。2013年10月以降のイスラエルによるガザ地区への攻撃に関して、ヴチッチ大統領をはじめとしたセルビア要人は目立ったコメントはしていない。一部報道によれば、2024年3月、セルビア国営軍事企業であるユーゴインポートSDPR社がイスラエルに対し1,400万ユーロ相当の武器・弾薬を輸出しており、その大部分がイスラエル軍によるガザ地区での軍事行動において使用されたのではないかとも指摘されている。

2024年6月には、ベオグラードのイスラエル大使館を警備していたセルビア警察官がクロスボウで襲撃されて負傷し、容疑者がその場で射殺される事件が発生している。

(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)

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