西バルカン

西バルカン地域全体に関連するニュース

ブルドー・ブリユニ・プロセス元首級会合開催:共同宣言は採択されず

 9月12日、スロベニアのブルドー(Brdo pri Kranju)において、ブルドー・ブリユニ・プロセス(BrdoーBrijuni Process)の第11回元首級会合が開催され、西バルカン各国及び共同議長国であるスロベニアとクロアチアの各大統領(ボスニアからは3民族の各大統領評議会メンバー)が出席した。

 ブルドー・ブリユニ・プロセスは、西バルカン地域のEU加盟プロセス促進を目的に、旧ユーゴスラビア構成国の中でEU加盟を果たしたスロベニアとクロアチアが主導して2013年より開始された地域枠組みであり、元首(大統領)級会合を毎年開催している。

 例年の会合では共同宣言(Joint Declaration)が採択されているが、今回の会合では、クロアチアが提案した「ボスニアを構成する3民族(ボシュニャク系、セルビア系、クロアチア系)の権利の平等」を求める文言についてボスニアが強く反対したため、共同宣言は採択されず、代わりに6項目の共同結論文書(Joint Conclusion)が採択された。共同議長国スロベニアのパホル(Borut Pahor)大統領は、会合後に自身の公式Twitterアカウントで共同結論文書を公開した。

1.EU拡大が西バルカン地域における平和と安全の維持に対する最も直接的な貢献を果たしており、またかつて無いほどに地政学的な問題となっていることを強調する。

2.確立された基準に基づくEU拡大プロセスの加速を求める。

3.ボスニア・ヘルツェゴビナに対し2022年末までにEU加盟候補国の地位を付与することを求める。

4.2022年末までに全ての西バルカン地域が査証免除の対象となることを求める。

5.EUに対し、経済危機及びエネルギー危機の影響を緩和する西バルカン地域の取り組みへの支援を求める。

6.立場の相違や未解決の政治的課題に対する唯一の解決策としての対話へのコミットメントを改めて確認する

 一方、クロアチアのミラノビッチ(Zoran Milanović)大統領は、「ボスニアにおける3民族の平等に触れることすら快く思わない参加者がいたため、共同宣言を断念せざるを得なかった。昨年のNATO首脳会合の際にも、NATO共同声明(Communique)におけるデイトン和平合意への単純な言及に反対するNATO加盟国が存在しており、その文言を維持するため、クロアチアは共同声明採択を阻止するという脅しまで用いねばならなかった。これは、我々が基本的な権利を守るために戦わねばならないということを示している。」と述べた。

クロアチア大統領府プレスリリース(英語)

 10月2日に総選挙を控えるボスニアでは、ボスニア・ヘルツェゴビナ連邦(ボスニア・ヘルツェゴビナを構成する二つの政体のうちの一つ)選挙法の改正問題を巡ってボシュニャク系とクロアチア系が対立している。現在提案されている改正案は、これまでよりもクロアチア系に有利に働くものと見られており、ボシュニャク系の住民や政党が強く反対する一方、ボスニアにおける3民族の平等を主張するクロアチア政府はこの改正案を支持している。ミラノビッチ大統領は過去に、「ボスニアにおける選挙法改正が実現しなければ、クロアチアはスウェーデン及びフィンランドのNATO加盟に反対すべきである」と発言したこともあった。

 セルビアのブチッチ(Aleksandar Vučić)大統領は会合後、メディアに対し、「ミラノビッチ大統領の主張はデイトン合意に則ったものでり、セルビアはこれを支持している」と述べた。

関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。