
米国政府、NISに対する制裁適用を10月8日まで延期
10月1日、クロアチアの石油パイプライン運営会社ヤナフ(Janaf / Jadranski naftovod)は、米財務省外国資産管理局(U.S. Office of Foreign Assets Control, OFAC)から新たなライセンスを取得し、セルビア石油公社(Naftna Industrija Srbije, NIS )への原油輸送を2025年10月8日まで継続することが許可されたと発表した。これに伴い、米国によるNISへの制裁の全面的な施行も同日まで再度延期されることとなった。
NISも同日、制裁施行の延期を認め、9月30日に新たな特別ライセンスが発行されたことを発表した。NISは現在、米国の制裁対象となる特別指定国民(Specially Designated Nationals, SDN)リストからの除外を申請しており、その手続きが進行中であることを明らかにしている。
米国は2025年1月、ロシアのウクライナ侵攻に対する経済制裁の一環として、ロシア国営のガスプロム・ネフチ社が筆頭株主であるNISを制裁対象に指定した。しかし、セルビアのエネルギー供給に与える影響を考慮し、その後複数回にわたり制裁の施行を延期する措置を取ってきた。NISが運営するパンチェヴォ(Pančevo)の製油所はセルビア国内で唯一のものであり、その稼働に必要な原油は全てヤナフのパイプラインを通じて供給されている。
ヤナフは今回のライセンス取得により、NISとの間で締結している2024年から2026年末までの原油輸送契約を当面履行できることになった。ヤナフはプレスリリースの中で、今後数日以内にクロアチア政府の支援を受け、米国弁護士を通じてOFACに対しライセンスのさらなる延長を要請する方針を示した。しかし同時に、「2025年10月8日以降のライセンス延長は、NISが米国の関係機関に対して取る措置に大きく依存する」とも指摘しており、NIS側の対応が今後の鍵を握ることを示唆している。
制裁発表後、NISのロシア側株主構成には変更が見られた。現在、株式の44.85%をガスプロム・ネフチが、29.87%をセルビア政府が保有している。
(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)
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