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セルビア、エアバス及びダッソーと産業協力協定を締結

9月24日、セルビアはフランスの航空防衛大手であるエアバス・ヘリコプターズ(Airbus Helicopters)社及びダッソー・アビエーション(Dassault Aviation)社と、それぞれ個別に産業協力に関する協定を締結した。特にダッソー社との協定は、セルビアが導入を計画している同社製ラファール(Rafale)戦闘機の購入に向けた重要な動きであり、セルビアの防衛政策が伝統的なロシア依存から西側へと大きく舵を切る象徴的な出来事となる。

セルビア国防省プレスリリースによると、ガシッチ(Bratislav Gašić)国防大臣及びミロラドヴィッチ(Nenad Miloradović)国防次官補(資材担当)の立ち会いの下、国営の航空機整備工場「モマ・スタノイロヴィッチ」(Vazduhoplovni zavod „Moma Stanojlović“)とエアバス・ヘリコプターズ社との間で産業協力の継続に関する文書が署名された。署名は、「モマ・スタノイロヴィッチ」のパヴロヴィッチ(Slaviša Pavlović)所長、エアバス・ヘリコプターズ社のハイン(Thomas Hein)欧州部門責任者、及び国営防衛装備輸出入仲介企業「ユーゴインポート-SDPR」(JP „Jugoimport–SDPR“)の代表者によってなされた。

この協定により、「モマ・スタノイロヴィッチ」はエアバス社のグローバルサプライチェーンにおいてヘリコプター部品の現地メーカーとしての役割を継続することが保証され、セルビア国内における高度技術生産の発展と知識移転の継続性が確保される。両者の協力関係は、セルビアが2016年に契約したH-145M軍用ヘリコプター9機の調達に端を発しており、これまでも「モマ・スタノイロヴィッチ」はSA341/SA342「ガゼル」ヘリコプターの整備拠点及びエアバス・ヘリコプターズ向けのスペアパーツ製造拠点としての認定を受けていた。

また同日、ガシッチ国防大臣は、セルビア国防省とダッソー・アビエーション社との間の産業協力プログラムを採択する特別協定の署名式にも出席した。本件に関するセルビア国防省プレスリリースによれば、この協定は、セルビアがかねてより交渉を進めてきたラファール戦闘機12機の導入計画と密接に関連している。ラファール導入は、旧ソ連製のMiG-29を主力とするセルビア空軍の近代化を目的としたもので、契約総額は約30億ユーロに上ると見られている。

この協定には、国防省資材部門防衛技術局長のラキッチ(Slavko Rakić)少将と、ダッソー社で兵器・軍事装備の輸出を担当するピシリーロ(Jean-Claude Piccirillo)上級副社長が署名した。署名式にはフランス国防省からディアス・デ・トゥエスタ(Gael Diaz de Tuesta)装備総局国際開発局長も同席した。

今回署名された協定に基づき、ダッソー社とその提携企業は、セルビアの防衛産業や軍事技術研究所(Vojnotehnički institut)と共同プロジェクトを実施し、特に航空分野における兵器・軍事装備の開発・生産能力の向上を目指す。これは戦闘機本体の購入だけでなく、技術移転や国内産業の参画を伴う包括的な協力関係の構築を意図したものであり、今後、個別の企業レベルで具体的な契約が結ばれる予定である。この一連の動きは、セルビアが軍装備の調達先を多様化し、欧州連合(EU)との連携を深める戦略の一環として注目される。

(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)

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