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セルビアと韓国が原子力・水素エネルギー分野での協力に向けた覚書を締結

9月2日、セルビア鉱業・エネルギー省は、韓国水力原子力発電(Korea Hydro and Nuclear Power, KHNP)との間で、原子力エネルギー及び水素の分野における協力に関する2つの覚書に署名した。この署名は、首都ベオグラードで開催された「韓国・セルビア戦略的エネルギー開発フォーラム」の一環として行われ、セルビア側からヴラホヴィッチ(Sonja Vlahovic)鉱業・エネルギー省次官、韓国側からKHNPのファン・ジュホ(Jooho Whang)社長が出席した。

鉱業・エネルギー省プレスリリース及びKNHPプレスリリースによれば、原子力分野に関する覚書の目的は、セルビア国内における原子力技術分野の人材育成と訓練を支援し、両国間での技術情報や専門知識の交換を促進することにあるとされている。

一方、水素分野の覚書では、グリーン水素のパイロットプロジェクト開発の可能性を共同で評価し、技術交流や人材育成の支援、さらには水素のサプライチェーン全体を管理するためのノウハウ共有を進めることが定められた。

今年6月、セルビア政府は、韓国との間での原子力・水素分野での協力を検討していると表明していた。

セルビアは近年、エネルギー政策の転換を加速させている。セルビア国民議会は2023年11月、1989年から施行されていた原子力発電所の建設に関するモラトリアムを撤回した。さらに2024年9月には、鉱業・エネルギー省がフランスの国営電力会社フランス電力(Electricite de France, EDF)および仏コンサルタント会社Egis Industriesaに対し、国内での原子力利用の可能性に関する予備的な技術調査を依頼するなど、具体的な動きを見せている。

また、水素エネルギーに関しても、国営セルビア電力公社(EPS)が水素の製造・貯蔵施設の活用可能性について分析を開始しているほか、中国企業がグリーン水素製造プラントの開発を計画、またドイツ復興金融公庫(KfW)がセルビアのグリーン水素セクターへの支援を検討するなど、国際的な協力も進んでいる。

今回覚書を締結したKHNPは、韓国電力公社(Korea Electric Power Corporation)の子会社であり、近隣のルーマニアではチェルナヴォダ(Cernavoda)原子力発電所の改修プロジェクトを受注するなど、南東欧地域での実績を積んでいる。今回の覚書締結は、脱炭素化とエネルギー安全保障の強化を目指すセルビアが、原子力および水素という次世代エネルギー分野において国際的なパートナーシップを積極的に模索している姿勢を明確に示すものであると言える。

(アイキャッチ画像出典:Ministranstvo Rudarstva i Energetike)

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