
セルビア政府、NIS国有化に向けた法案準備に着手―米国の制裁回避が目的
11月26日、セルビア国民議会のブルナビッチ(Ana Brnabić)議長は、2026年度予算案に対する修正案を提出し、ロシア資本が過半数を握るセルビア石油産業(NIS)を、必要に応じて国が管理下におくことを可能にする法的措置を講じる方針を明らかにした。
ブルナビッチ議長は前日の25日夜、現地メディア「Euronews Srbija」のインタビューに応じ、自身は経済的自由主義の立場から企業の国有化には原則として反対であり、それが「パンドラの箱」を開けることになりかねないと懸念を示した。しかし、今回の修正案については、エネルギー安全保障と国民生活を守るためにセルビア政府がNISを引き取らざるを得ない特定の状況を想定した不可欠な措置であると説明している。
この動きの背景には、米国による対ロシア制裁の強化がある。米国財務省外国資産管理室(OFAC)は、NISに対する制裁措置を2025年10月8日に発効させ、同社からのロシア資本の完全な撤退を求めている。
現在、NISの株式はロシアのガスプロム・ネフチが44.85%、ガスプロム関連企業が11.3%を保有しており、セルビア政府の保有率は29.87%にとどまる。セルビアのヴチッチ(Aleksandar Vučić)大統領は25日、ロシア側株主が今後50日以内に第三者への売却合意に至らない場合、セルビア政府が「最良の価格」で株式を買い取り、経営権を掌握する用意があると表明していた。
ブルナビッチ議長によれば、セルビア側はロシアに対し、所有権構造の変更に関する協議への参加機会を提供したが、これまでのところロシア側がセルビアの国益を十分に考慮した対応をしてきたとは言い難い状況にあるという。同議長は、NISが国内GDPの約4%および歳入の10%を占める重要企業であることを踏まえ、ヴチッチ大統領が主導して解決策を模索していると述べた。
なお、ブルナビッチ議長は国内の燃料供給状況について、クロアチアを経由するアドリア海パイプライン(JANAF)を通じた原油輸入が47日間にわたり停止しているものの、国内での燃料不足やパニックは発生しておらず、エネルギー供給は依然として安定していると強調した。議会における修正案の審議は、27日以降に行われる見通しとなっている。
(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)




































































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