北マケドニア

北マケドニア関連ニュース

墺仏合弁電力企業、EBRD主導で3億1500万ユーロの融資を確保-中東欧のグリーンエネルギー移行を加速

7月24日、再生可能エネルギーに特化した独立系発電事業者であるレナルファIPP (Renalfa IPP)は、欧州復興開発銀行(European Bank for Reconstruction and Development, EBRD)が主導する銀行団から3億1500万ユーロのHoldcoファイナンスを確保したと発表した。この融資は、中東欧地域におけるグリーンエネルギーへの移行を加速させることを目的としている。

EBRDプレスリリース及びレナルファ社プレスリリースによれば、この資金は、ブルガリア、ハンガリー、ルーマニア、北マケドニアにまたがるレナルファIPPの12億ユーロ規模の投資プログラムを支援するものとなる。同プログラムが完了すると、約1.6ギガワット(GW)の発電資産と、約3.3ギガワット時(GWh)の併設型バッテリーエネルギー貯蔵システム(Battery Energy Storage Systems, BESS)が稼働する予定である。これにより、年間約2.3テラワット時(TWh)のグリーン電力が供給され、これはこの地域における約92万世帯の電力需要に相当する。また、BESSの統合により、再生可能エネルギー発電における断続性の課題を克服し、送電網の安定性向上に貢献することが期待される。

今回の融資はEBRDが主導し、自己勘定から1億ユーロを融資するとともに、A/Bローン構造を通じて商業銀行から追加で1億ユーロを調達した。参加した銀行団には、黒海貿易開発銀行(Black Sea Trade and Development Bank, BSTDB)、ハンガリーのOTP銀行(OTP Bank)、スロヴェニアのノヴァ・リュブリャンスカ銀行(Nova Ljubljanska Banka, NLB)、イタリアのウニクレディト(UniCredit)、オーストリアのコムナルクレディット(Kommunalkredit)が含まれる。

EBRDはこの取引に対し、欧州連合(EU)の投資支援プログラム「InvestEU」から初回損失保証を確保した。これにより、市場価格に連動する再生可能エネルギー事業や革新的な蓄電技術に伴うリスクが軽減され、民間部門からの投資の促進が期待される。EBRDの銀行部門担当副総裁であるパトローネ(Matteo Patrone)氏は、「これは画期的な取引であり、依然として炭素集約的なエネルギー源に大きく依存している地域において、待望の再生可能エネルギー導入を加速させ、化石燃料への依存を減らし、エネルギー安全保障を強化するものだ」と述べ、その意義を強調した。

また、本件の一環として、EBRDは「InvestEU諮問ハブ(InvestEU Advisory Hub)」を通じて、BESS関連スキルに関する研修プログラム開発を支援する。レナルファIPPは各対象国の大学とも連携し、エネルギー分野でのキャリアに女性を惹きつけるための啓発キャンペーンを展開する計画となっている。

レナルファIPPの最高経営責任者であるプロコピエフ(Ivo Prokopiev)氏は、「この度の成長資金の調達成功は、我々のグループ全体にとって重要な節目だ。これにより、中東欧で初めてグリーンなベースロード電源を市場に提供できるようになる」とコメントした。レナルファIPPは、オーストリアのレナルファ・ソーラープロ・グループ(Renalfa Solarpro Group)とフランスのインフラファンドマネージャーであるRGREEN INVESTとの合弁会社であり、中東欧の再生可能エネルギー分野における主要企業として知られている。

(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)

関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。