
コソヴォ議会、5ヶ月の膠着を経て議長を選出―セルビア系からの副議長選出に難航し、組閣への道は依然不透明
8月26日、コソヴォ議会は5ヶ月近くに及ぶ政治的停滞の末、総選挙で第1党となった「自己決定運動(Lëvizja Vetëvendosje, LVV)」所属のディマル・バシャ(Dimal Basha)氏を新議長に選出した。しかし、セルビア系政党からの副議長選出が難航しており、新政権樹立への道筋は依然として不透明なままとなっている。
コソヴォでは今年2月に議会選挙の投開票が行われたが、LVVが議席を減らした結果、いずれの政党も過半数を獲得できない状態となった。その後約5ヶ月間、議会は正式発足に必要な議長選出の手続きに失敗しており、憲法裁判所が議会に対して明示的に議長選出の期限を2度にわたり設定するなど、異例の政治的膠着状態が続いていた。
バシャ氏は、120議席からなる議会において賛成73票、反対30票、棄権8票で選出された。主要野党であるコソヴォ民主党(Partia Demokratike e Kosovës, PDK)所属議員の多くは、「クルティ(Albinn Kurti)政権で閣僚を経験していない人物を支持する」という同党の方針に従い、バシャ氏の議長選出に対して賛成票を投じた。
LVVはこれまで4人の候補者を立てたものの、いずれも可決に必要な支持を得られず、バシャ氏は5人目の候補者であった。選出後、バシャ議長は議員に対し「政治的な違いを超え、我々の国の未来のために共に働く勇気と知恵があることを示す時だ」と述べ、協力と団結を呼びかけた。
議長の選出により、オスマニ(Vjosa Osmani)大統領がLVVに組閣を命じる道が開かれた。しかし、同党の議席は48議席にとどまり、単独で政権を樹立するための過半数(61議席)には達しておらず、他党との連立が不可欠となる。
さらに、議会が正式に発足するためには、憲法で定められた全ての民族からの副議長を選出する必要がある。セルビア政府の支援を受けるセルビア系政党「セルビア人リスト(Srpska Lista, SL)」が推薦した候補、スラヴコ・シミッチ(Slavko Simić)氏が3度の投票でも必要な票を得られなかったため、事態は再び膠着している。バシャ議長は、憲法裁判所の判例を根拠に同一候補の4度目の指名を認めず、SL側はこれに反発している。
議長選出は停滞を打開する一歩となったものの、セルビア系との根深い対立や困難な連立交渉が待ち受けており、コソヴォが安定した新政権を発足させるまでには、なお多くの課題を克服する必要がある。
(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)
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