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コソヴォ地方選、セルビア語メディアの取材拒否で国際社会から非難-選管は非難を受けて決定を撤回

10月9日、コソヴォ中央選挙管理委員会(Central Election Commission: CEC)は、今月12日に投開票が予定されているコソヴォ地方選挙において、多数のセルビア語メディア、国際メディア、および一部のアルバニア語メディアからの取材申請を却下した。この決定に対し、国内外の報道機関や国際社会から、メディアの自由と選挙の透明性を著しく損なうものとして強い非難の声が上がり、CECは10日、セルビア語メディアの取材を追加的に許可した。

今回の地方選挙は、38の自治体で市長および市議会議員を選出するものであり、200万人以上が有権者として登録されている。93の政党や政治団体が選挙に参加を認められている中、CECは9日に、取材を拒否したメディアのリストを公表したものの、その決定に至った具体的な理由は明らかにしていない。

この事態を受け、印刷媒体とオンラインメディアの自主規制機関であるコソヴォ報道評議会(Press Council of Kosovo: PCK)は、この決定を「受け入れがたく、有害」であると非難した。PCKによると、却下されたメディアはCECの政治団体登録局によってすべての必要書類が承認されており、取材活動に必要な基準を満たしていたという。PCKは、選挙苦情・不服申立委員会(Election Complaints and Appeals Panel)に対し、全メディアへの平等な扱いを確保するための賢明な決定を下すよう求めている。

国際社会も迅速に反応した。英国のハーグリーブス(Jonathan Hargreaves)駐コソヴォ大使はCECのラドニチ(Kreshnik Radoniqi)委員長と会談し、「合法的な報道機関が法律に従って選挙を監視できることの重要性」を伝えた。

欧州安全保障協力機構(Organisation for Security and Co-operation in Europe: OSCE)コソヴォ・ミッションも声明でCECの決定に対する失望を表明し、「自由で公正、かつ透明性の高い選挙は、すべてのメディアが選挙の動向を監視、報道し、公衆に情報を提供するための開かれ、平等なアクセスにかかっている」と述べた。さらに、特定の言語や編集方針を理由に取材を制限することは、ジャーナリストの職務遂行能力を妨げるだけでなく、多民族的で民主的なコソヴォの枠組みの根幹である各民族の言語による情報へのアクセスを損なうものだと指摘した。

コソヴォ・ジャーナリスト協会(Association of Journalists of Kosovo: AJK)は、「この拒否は政治的かつ民族的な性質を帯びているように見える」との見解を示し、却下されたメディアに対し、直ちに選挙苦情・不服申立委員会へ不服を申し立てるよう促した。

セルビアの首都ベオグラードに拠点を置く独立電子メディア協会(Association of Independent Electronic Media: ANEM)も、「検閲であり、情報への選択的なアクセス制御」だと強く抗議。「今回の選挙における有権者の多くがセルビア系であり、言語の壁が存在することを考慮すると、このような行為は市民が母語で選挙プロセスや投票結果について知るという基本的人権を否定するものだ」と主張し、コソヴォ関係機関に決定の再考を求めた。

一連の批判を受け、CECは10日、セルビア語メディアを含む28のメディアに対し追加の取材許可を付与すると発表した。

(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)

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