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EIB、西バルカン向けにイノベーションとGXを支援する新ファシリティを設立

9月8日、欧州連合(EU)の政策金融機関である欧州投資銀行(European Investment Bank, EIB)の国際開発部門(EIB Global)は、西バルカン地域における持続可能な民間部門の成長を加速させるため、新たな金融イニシアティヴである「イノベーション・グリーン変革ファシリティ(Innovation and Green Transformation Facility, IGTF)」を立ち上げることを発表した。

EIBプレスリリースによれば、このファシリティは、西バルカン地域のEU統合を支える「西バルカン経済投資計画」および「西バルカン成長計画」を補完し、グリーンおよびデジタルアジェンダへの移行を強化するものとされている。

本ファシリティは、EIBからの1億7,000万ユーロの融資と、西バルカン投資枠組み(Western Balkans Investment Framework, WBIF)を通じたEUからの1,700万ユーロの助成金を組み合わせた総額1億8,700万ユーロ規模となる。各国の零細・中小企業および中堅企業を対象に、デジタル化、イノベーション、グリーン移行を促進するための低コストでの資金調達と投資インセンティヴを提供する。資金は西バルカン各国内の金融機関や商業銀行を通じて供給され、サイバーセキュリティ、製品開発、持続可能な農業、エコシステムを基盤とした観光、気候変動に対する強靭性といった分野への投資に充てられる。

資金提供に加え、IGTFでは技術支援も実施され、特に、企業の投資準備状況の改善や能力構築支援に重点が置かれる。また、インキュベーター、サイエンスパーク、研究センターにも支援を拡大し、個別のメンタリングや研修、人材交流を通じて、地域全体のイノベーション・エコシステムの育成を目指す。現在、EIB Globalと国連開発計画(United Nations Development Programme, UNDP)の北マケドニア事務所は、この補完的な技術支援を西バルカン全域の受益者に提供することを目的としたパートナーシップの構築を検討している。

EIB Globalの北マケドニア事務所代表であるガブリエル(Björn Gabriel)氏は、「IGTFは単なる資金調達ツールではなく、変革の触媒である。金融的インセンティヴと的を絞った技術支援を組み合わせることで、企業が革新し、持続的に成長し、EU基準に整合することを後押しする。地場企業の競争力強化、輸出促進、そして持続可能な雇用と包摂的成長の促進を目指す」と述べた。

EIBによれば、IGTFの本格的な展開は、2026年前半に開始される予定とされている。

(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)

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