コソヴォ中銀がコソヴォ国内でのセルビア・ディナール使用を禁止する規制を発表

1月17日、コソヴォ中銀(CBK)理事会は、「現金取り扱いに関する規則」改正案を採択したと発表した。この改正規則では、「コソヴォにおける現金決済取引および決済システムで使用が認められている通貨はユーロのみである」と定められ、「その他の非ユーロ通貨は、…物理的な形での保管や非ユーロ通貨の銀行口座での利用、非ユーロ通貨での国際決済および外国為替活動にのみ使用することができる」とされている。

CBKの発表によれば、今回の規則改正は主に偽造通貨の流通防止を目的としたものだとされているが、実際には、コソヴォに共住するセルビア人住民によるセルビア・ディナールの使用を封じることが狙いではないかとの観測もなされている。

コソヴォ憲法では、公式通貨はユーロのみと定められているが、北部を中心としたセルビア人居住地域内では日常的な決済通貨としてセルビア・デイナールが主に使用されており、今回の新規則を厳格に執行した場合、これらの地域に住むセルビア人の日常生活に多大な影響が及ぶものと考えられている。また、これらセルビア人地域における病院や学校などのセルビア人向け公共サービスは、人件費を含めセルビア政府予算によって運営されているほか、年金や児童手当などもセルビア政府から支払われている。今回の規則制定により、こうした人々へのセルビア政府からの送金が滞ることが予想されており、セルビア人住民はCBKの決定に強く反発している。

セルビアのヴチッチ(Aleksandar Vučić)大統領は、「コソヴォからセルビア人を排除しようとするプリシュティナの新たな暴挙であり、我々を不安にさせるだけではなく、コソヴォとの対話のプロセスそのものに対する疑念を抱かせるものである」と述べた。

EUのベオグラード・プリシュティナ間対話担当特使であるライチャーク(Mloslav Rajcak)氏は、セルビアメディアの取材に対し、「今回のコソヴォ側の動きは既にブリュッセルに報告しており、EUがこれに対して共通の立場で対応することを期待している」と述べている。

コソヴォ中銀プレスリリース

(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)

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