
アルバニア・イタリア政府間サミット開催-防衛産業協力や市民保護支援など多岐にわたる協定締結、国営防衛企業は伊防衛大手と艦船製造等で合意
11月13日、イタリアのローマにおいてイタリアとアルバニアによる初の政府間サミットが開催され、メローニ(Giorgia Meloni)伊首相とラマ(Edi Rama)アルバニア首相の立ち会いの下、防衛、安全保障、市民保護など多岐にわたる分野での協力協定が締結された。本サミットでは、両国の戦略的パートナーシップの深化が再確認され、合計16のセクターに関連する合意や覚書が交わされている。
防衛分野においては、ヴェング(Pirro Vengu)アルバニア国防相とクロセット(Guido Crosetto)伊国防相が新たな防衛協力協定に署名した。アルバニア国防省プレスリリースによれば、これにより、軍事訓練、相互運用性の向上、海洋安全保障における共同活動が拡大される見通しである。特筆すべき点として、イタリアからアルバニア沿岸警備隊へ2隻の巡視船を譲渡するための技術協定が締結され、アドリア海およびイオニア海におけるアルバニアの海上監視および捜索救助能力の大幅な強化が図られることとなった。ヴェング国防相は、この合意が欧州大陸が直面する安全保障上の課題に対する共通の視点に基づくものであると強調している。
また、今回のサミットでは防衛産業における連携強化が主要なテーマの一つとなった。翌14日には、アルバニア国有防衛企業であるKAYOが、イタリアの重工業大手フィンカンティエリ(Fincantieri)および航空宇宙・防衛大手レオナルド(Leonardo)との間で製造合意に署名した。アルバニア国内局A2 CNNの報道によれば、具体的には、フィンカンティエリとの間でパシャリマン基地を含む拠点での軍用艦船および民間船舶の製造が進められるほか、レオナルドとは軍事技術やサイバー防衛分野での協力が行われる。KAYOとフィンカンティエリの間では既に同年4月に覚書が交わされていたが、今回の合意により、弾薬から指揮統制システム、さらには国内外市場向けの新たな海軍プラットフォームの生産に至るまで、高度な技術活用に焦点が当てられることとなる。これは、NATOの要件に基づき防衛産業の再活性化を目指すアルバニア政府の方針を後押しするものである。
市民保護の分野では、アルバニアの対応能力と回復力を高めるための多額の財政支援が決定された。イタリア側は、装備の近代化や訓練を目的とした3000万ユーロの融資と、リスク軽減や迅速な対応体制の構築に向けた500万ユーロの贈与を供与する。これに加え、アルバニア国家市民保護庁(NCPA)、イタリア開発協力庁(AICS)ティラナ事務所、およびイタリア市民保護局の間で3者間の覚書が署名され、緊急事態管理プロジェクトにおけるシナジーの確保が図られる。
このほか、エネルギー分野では地中海を横断する海底送電線の建設に向けた協力や、医療、環境、教育など幅広い分野での連携が確認された。移民問題に関しては、2023年に署名された議定書に基づきイタリアが建設する施設について、ローマの裁判所による移送停止判断を受け、亡命申請が却下された者の送還拠点として運用が変更されている現状も背景にある中、引き続き移民管理における協力体制が議論された。
(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)






































































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