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【報道】セルビア政府、エネルギー安保強化へ14億ユーロを2026年予算案に追加計上-NIS国有化準備の動き加速

11月26日、セルビアの通信社タンユグ(Tanjug)は、セルビア政府がエネルギー安全保障と安定性を確保するための金融資産取得費用として、1,640億ディナール(約14億ユーロ)を追加計上する計画であると報じた。タンユグ報道によると、与党セルビア進歩党(Srpska napredna stranka: SNS)は、2026年度予算案に対して修正案を提出したとされる。

当初の2026年予算案では、エネルギー安保目的の予算には6億ディナールのみが計上されていたが、今回の修正により巨額の資金が充てられることになる。この動きは、ロシアおよび米国の制裁対象となっている石油・ガス会社セルビア石油残業(Naftna Industrija Srbije: NIS)の買収に関する議論が熱を帯びる中で表面化した。

11月25日に開始された議会での予算審議において、ヴチッチ(Aleksandar Vučić)大統領の側近であるブルナビッチ(Ana Brnabić)国会議長は、NISの経営権取得を可能にするための予算修正案が準備されていることを明らかにした。

同日、ヴチッチ大統領もまた、ロシア側株主(ガスプロム)からNISの経営権を引き継ぐ意向を表明しており、今後50日以内にロシア側が第三者への売却契約を成立させない場合、セルビア政府が「適正価格」で株式を取得する用意があると言及している。

現在、NISの株式は、ロシアのエネルギー大手ガスプロム(Gazprom)の石油部門であるガスプロム・ネフチ(Gazprom Neft)が44.85%を保有し、セルビア政府が29.87%、ガスプロムが間接的に支配するサンクトペテルブルク拠点の企業インテリジェンス(Intelligence)が11.3%を保有している。米国財務省(U.S. Department of the Treasury)は今年1月、NISのロシア資本に対する制裁を発表しており、数度の延期を経て10月8日に制裁が発効した。米国外国資産管理室(Office of Foreign Assets Control: OFAC)は、ロシア側所有者の完全な撤退を求めている状況にある。

NIS側は先週、所有権構造の変更に関する交渉が継続中であることを明らかにし、これを踏まえてOFACに対し営業ライセンスの延長を再申請したと発表した。OFACは以前、所有権変更の交渉についてのみ、来年2月13日までの期限付きで承認を与えている。NISはセルビア国内唯一のパンチェヴォ(Pančevo)製油所を運営するほか、国内最大となる327か所のガソリンスタンド網を有し、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ブルガリア、ルーマニアでも事業を展開する地域屈指のエネルギー企業であり、約1万4000人の雇用を支えている。

(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)

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