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北マケドニアとブルガリア、汎欧州回廊Ⅷ号線の国境鉄道トンネル建設合意に署名

11月6日、北マケドニアのニコロスキ(Aleksandar Nikoloski)副首相兼運輸相とブルガリアのカラジョフ(Grozdan Karadjov)副首相兼運輸・通信相は、汎欧州輸送回廊8号線(Pan-European transport corridor Ⅷ、通称「コリドー8」)の一部となる、国境を越える鉄道トンネルの共同建設に関する協定に署名した。署名式はブルガリア国境のギュエシェヴォ(Gyueshevo / Ѓуешево)鉄道駅で行われた。

両国間を結ぶトンネル整備は長年の懸案事項であったが、今年7月に欧州委員会による仲介の下で開催された会合において、基本合意に達していた。

北マケドニア政府プレスリリースによれば、署名式においてニコロスキ副首相は、この回廊がバルカン半島とヨーロッパ全体にとって戦略的、経済的、地政学的に重要であると強調した。また、両国の首都であるスコピエとソフィアを鉄道で結ぶことは「両国の国境を越えた世代の夢」であったと述べた。さらに、この回廊が北マケドニアを二つの海(アドリア海と黒海)に接続し、国内経済の競争力を高めるだけでなく、NATO(北大西洋条約機構)の安全保障上も極めて重要であると、ウクライナ情勢にも触れつつ指摘した。カラジョフ副首相も、このプロジェクトが路線全体の完成に新たな弾みを与え、両国市民に「より速く、安全で、環境に優しい」輸送手段を提供するものになるとの期待を表明した。

出典:Влада на‎ Република Северна Македонија

北マケドニア側では、クマノヴォ(Kumanovo)からブルガリア国境までの鉄道建設に、欧州連合(EU)からの2億ユーロの無償資金援助を含め、総額約8億1000万ユーロが投じられる。第1区間のクマノヴォ〜ベリャコフツェ(Beljakovce)間は2025年1月に開通し、第2区間のベリャコフツェ〜クリヴァ・パランカ(Kriva Palanka)間は現在建設中(2026年10月完成予定)となっている。ニコロスキ副首相は欧州復興開発銀行(EBRD)と協力し、第2区間の請負業者の作業遅延の問題に取り組んでいると言及した。

第3区間のクリヴァ・パランカ〜国境(トンネル部分)については、欧州投資銀行(EIB)、EBRD、EUと協力し、2025年12月中にも請負業者の選定(事前資格審査)を再公告する見込みだとされている。この区間は2023年12月に入札が行われたが、2024年に「実行不可能で高額すぎる」として中止されていた。これらに加え、クマノヴォから国境までの全線の信号・電化のために別途1億1000万ユーロが計上されている。

一方、ブルガリア側の総投資額は12億ユーロ以上と見積もられている。計画は4つのセクションに分かれており、第1区間(トンネル~ギュエシェヴォ村)は11月11日まで入札を受け付けている。第2区間(ペルニク(Pernik)~ラドミル(Radomir))は11月末までに契約が結ばれる予定である。第3区間(ソフィア~ペルニク)は計画段階にあり、今後数ヶ月以内に入札が予定されている。最後の第4区間(ラドミル~ギュエシェヴォ)については、設計作業がさらに6ヶ月間続き、入札は2026年半ば以降になる見通しである。

コリドー8は、アドリア海に面するアルバニアの港湾都市ドゥラス(Durres / Драч)から、北マケドニアを経由し、黒海に面するブルガリアの港湾都市ヴァルナ(Varna / Варна)までを結ぶ、東西の重要な輸送ルートである。このプロジェクトは、EUの「グローバル・ゲートウェイ(Global Gateway)」戦略における旗艦プロジェクトにも位置付けられており、EUから多大な財政支援が提供されている

(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)

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