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【報道】ジョコヴィッチ氏、モンテネグロ屈指の観光地「スヴェティ・ステファン」経営引継ぎか-政府と運営会社の紛争によりリゾート施設は現在閉鎖中

モンテネグロの地元メディアRTVブドヴァ(RTV Budva)などは、モンテネグロ沿岸部における象徴的な高級リゾートである「スヴェティ・ステファン(Sveti Stefan)」が、世界的なテニス選手であるノヴァク・ジョコヴィッチ(Novak Đoković)氏の主導により、2026年5月にも再開される可能性があると報じた。

出典:WOW Montenegro

RTVブドヴァが非公式の情報源に基づいて報じたところによると、11月初旬、モンテネグロ政府の主導で首都ポドゴリツァにおいてスヴェティ・ステファン再開に関する会合が開催された。会合には、リゾートの現在の賃借人であるアドリアティック・プロパティーズ(Adriatic Properties)社、ホテル・ステファンAD(Hoteli Stefan AD)、HTPミロチェル(HTP Miločer)の代表者らが出席した。情報筋によれば、この場でジョコヴィッチ氏が、リゾートを運営するアマンリゾーツ(Aman Resorts)の代表として、アドリアティック・プロパティーズ社の株式の過半数を取得することで合意に至ったとされる。

スヴェティ・ステファン・リゾートを巡る紛争は、2007年にモンテネグロ政府がギリシャ人実業家ペトロス・スタシス(Petros Stathis)氏所有のアドリアティック・プロパティーズ社に対し、スヴェティ・ステファン島、旧王室の別荘であったミロチェル(Miločer)ホテル、クイーンズ・ビーチ(Queen’s Beach)ホテルを含む複合施設について、30年間の賃借権を認める契約を締結したことに始まる。リゾート運営はロシア生まれの実業家ヴラディスラフ・ドロニン(Vladislav Doronin)氏が所有するアマンリゾーツ(Aman Resorts)が担ってきた。2015年には賃借期間が2049年まで延長される一方、年間賃借料が引き下げられていた。

問題が表面化したのは、アドリアティック・プロパティーズ社が長年にわたり、賃借地へのアクセスをホテル宿泊客のみに制限してきたことに対し、地元住民の不満が高まったことによる。2021年、住民らがクイーンズ・ビーチ周辺に設置されたフェンスを破壊する実力行使に出た。これを受け、モンテネグロ政府はリゾートの一部エリアへの一般市民のアクセスを部分的に認める決定を下した。

アドリアティック・プロパティーズ社は、この政府決定が契約違反であるとして、同年にリゾートを閉鎖したうえで、モンテネグロ政府を相手取り、国際仲裁裁判所に仲裁を申し立てた。以降、同リゾートは閉鎖されたままとなっていた。2025年3月には、政府と同社が仲裁を一時停止し、同リゾートを夏に再開させることで合意したとも報じられたが、実現しなかった。

ジョコヴィッチ氏は2014年に同リゾートで結婚式を挙げており、2024年8月にはアマンリゾーツ初のグローバル・ウェルネス・アドバイザーに就任している。同氏は2025年2月にも、アマンのパートナーとして紛争を仲介しリゾート再開を提唱するため、モンテネグロ政府当局者と会談していた。

この合意に関する公式な確認はまだないものの、長引く紛争の解決に向けた動きとして注目されている。

(アイキャッチ画像出典:Einer flog zu Weit via Wikimedia commons CC BY-SA 3.0)

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