
米国の制裁を受け、ロシアのルクオイルが海外資産売却へ-西バルカン子会社事業にも影響か
10月27日、ロシア第2位の石油生産会社であるルクオイル(PJSC “LUKOIL”)は、同社に対する米国の制裁措置を受け、海外資産を売却する意向を公式に発表した。
この決定は、先週、米国財務省がロシアによるウクライナ侵攻を受け、ロシア政府への圧力を強める目的で、ルクオイルおよび国営石油大手ロスネフチ(Rosneft)に対して新たな制裁を発表したことに対応するものである。この制裁は、両社が直接または間接的に50%以上所有する全ての事業体も対象としている。
ルクオイルのプレスリリースによると、売却プロセスは米国財務省外国資産管理室(Office of Foreign Assets Control, OFAC)が発行した事業縮小(wind down)ライセンスに基づき進められる。ルクオイルは「潜在的な購入者からの入札検討が開始された」としており、必要に応じて「海外資産の途切れない運営を確保するため」にライセンスの延長を米国側に対し申請する計画であると付け加えた。現在のライセンスは11月21日に失効する予定となっている。
ルクオイルは世界30カ国以上で事業を展開しており、南東欧、特に西バルカン諸国においても重要なエネルギー供給主体となっている。同社はブルガリアにおいてバルカン半島最大規模の日量19万バレルを処理するルクオイル・ネフトヒム・ブルガス(Lukoil Neftohim Burgas)製油所を、ルーマニアにおいてもペトロテル(Petrotel)製油所を所有している。さらに、セルビア、クロアチア、モンテネグロ、北マケドニア、およびモルドヴァにおいても事業活動を行っている。
モンテネグロ及びセルビアでは、米国の制裁発動後も各国内のルクオイル子会社は通常営業を継続しており、国内市場への影響は軽微との見方も報じられていたが、ルクオイルの海外資産売却の動きを受け、今後の各国ルクオイル子会社の事業の行方が注目される。
今回のルクオイルによる海外資産売却の意向表明は、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻開始以来、西側諸国の制裁に直面しているロシア企業による対応としては、最も重大なものの一つと見られている。
(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)

































































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