
米国、NISガソリンスタンドでのディナカード決済に対し警告-セルビア大統領が明らかに
10月17日夜、セルビアのヴチッチ(Aleksandar Vučić)大統領は、国内テレビ局Pink TVのインタビューに応じ、米国財務省外国資産管理室(Office of Foreign Assets Control, OFAC)がセルビア中銀(Narodna banka Srbije, NBS)に対し、ロシア資本傘下にある石油ガス会社セルビア石油産業(Naftna Industrija Srbije, NIS)のガソリンスタンドにおけるセルビアの国内決済カード「ディナカード(DinaCard)」の使用継続について警告したことを明らかにした。
NISに対する米国の制裁は10月8日に発効し、これに伴い同社のガソリンスタンドではVisa、Mastercard、American Expressといった国際ブランドのカード決済が停止された。NISのウェブサイトによると、現在も現金、ディナカード、モバイルバンキングアプリ、IPS即時決済システムによる支払いは可能となっている。
ヴチッチ大統領は、セルビア政府としてOFACに対し、少なくとも当面の間はディナカードによる決済を許可するよう要請する意向を示した。また、現金での支払いには何ら問題がなく、「市場への(燃料)供給は十分であり、国民が心配する必要はない」と述べ、市場の安定を強調した。
NISはセルビア国内唯一の石油精製所を運営し、328ヶ所のガソリンスタンドからなる国内最大の燃料小売ネットワークを有する。同社の2025年上半期の財務報告によれば、セルビアの自動車燃料市場におけるシェアは66%、小売市場でのシェアは48%に達している。NISは制裁発効後、卸売取引については引き続きディナール建てで決済を受け付けると発表していた。同社は国外でもボスニア・ヘルツェゴヴィナに42ヶ所、ブルガリアに22ヶ所、ルーマニアに19ヶ所のガソリンスタンドを展開している。
(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)
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