セルビア

セルビア関連ニュース

セルビアとアゼルバイジャン、ニシュ近郊のガス火力発電所建設で交渉完了-セルビアへの追加天然ガス供給も合意

9月24日、セルビアのブルナビッチ(Ana Brnabić)国民議会議長は、アゼルバイジャンの首都バクー(Baku)を訪問し、同国との間でセルビア南部の都市ニシュ(Niš)近郊に500メガワット(MW)のガス火力発電所を共同で建設する交渉が完了したことを明らかにした。

ブルナビッチ議長は、アゼルバイジャンのアサドフ(Ali Asadov)首相やガファロヴァ(Sahiba Gafarova)国民議会議長らとの会談後に、セルビアメディアの取材に答える中でこの発表を行った。

ブルナビッチ議長によれば、正式な契約の調印は、今後開催が予定されている第1回セルビア・アゼルバイジャン戦略的パートナーシップ評議会の場で行われる見込みであるが、その具体的な日程はセルビアのヴチッチ(Aleksandar Vučić)大統領とアゼルバイジャンのアリエフ(Ilham Aliyev)大統領の都合によって決定されると、ブルナビッチ議長は述べた。

出典:Српска напредна странка

この発電所建設計画は、昨年11月にヴチッチ大統領がアリエフ大統領と1ギガワット(GW)規模の発電所建設について協議したことに端を発する。その後、同年12月にセルビアのマーリ(Siniša Mali)財務相が、発電所の容量は500MWとなり、2028年までの国のエネルギーインフラ開発計画の一環として進められると説明していた。

また、ブルナビッチ国会議長は今回の訪問で、冬季の暖房シーズンに向けた追加の天然ガス供給についてもアゼルバイジャン側と合意したことを明らかにし、関連契約が数週間以内に締結されるとの見通しを示した。これに先立ち、今週初めには国営ガス会社スルビヤガス(Srbijagas)のバヤトヴィッチ(Dušan Bajatović)社長が、アゼルバイジャンから1日あたり最大250万立方メートルのガスを供給することで合意したと発表していた。

セルビアは近年、ロシア産ガスへの依存度を低減させるため、アゼルバイジャンとのエネルギー分野における関係強化を積極的に進めている。2023年11月には、2024年から2026年にかけて年間最大4億立方メートルのアゼルバイジャン産ガスを輸入する契約を締結したほか、2024年から2025年にかけての冬季の追加供給についても合意していた。さらに、2023年9月にはグリーンエネルギー分野での協力に関する覚書も交わしている。

一方で、セルビアは未だ国内ガス需要の大部分をロシア産ガスによって賄っており、ロシアのウクライナ侵攻に関連して欧米がガスプロムやその子会社を制裁対象とする中にあって、スルビヤガスはガスプロムとの間での新たな天然ガス供給契約を10月に署名する方針を表明している。

アゼルバイジャン政府プレスリリースによれば、今回の会談ではエネルギー分野での協力に加え、両国の戦略的パートナーシップ、貿易・経済、投資、運輸、人道分野など幅広い分野における協力の展望が議論され、特に領土保全と主権の問題に関して国際場裏で相互に支持し合ってきた緊密な政治的関係が再確認された。

(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)

関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA