
スルプスカ共和国議会、ドディック前大統領の有罪判決を巡る住民投票実施を可決
8月22日深夜(現地時間)、ボスニア・ヘルツェゴヴィナを構成する政体(エンティティ)の一つであるスルプスカ共和国(Republika Srpska, RS)の国民議会は、ドディック(Milorad Dodik)前RS大統領の有罪判決を受け入れるか否かを問う住民投票について、10月25日に実施することを賛成多数で可決した。
この動きは、ドディック氏が8月1日にボスニア・ヘルツェゴビナ国家裁判所から、シュミット(Christian Schmidt)上級代表の決定に従わなかった罪で禁錮1年の有罪判決を受けたことに端を発する。その後、中央選挙管理委員会はドデイック氏のRS大統領としての職権を取り消す決定を下していた。ドディック氏は、収監を回避するために約19,000ユーロ相当の罰金を支払っている。
RS議会与党である独立社会民主同盟(Alliance of Independent Social Democrats, SNSD)が提出した住民投票の設問は、シュミット氏の決定、国家裁判所の判決、中央選挙管理委員会の決定を受け入れるかどうかを有権者に問う内容となっている。野党各党が採決をボイコットする中、議会は定数83のうち50の賛成票で可決した。しかし、スルプスカ共和国の法律では、政体の管轄外の問題に関する住民投票に法的拘束力はないとされている。
議会でドディク氏は、国家レベルの機関の権威を改めて否定し、RS大統領職の辞任を拒否する姿勢を強調した。また、ヴィシュコヴィッチ(Radovan Viskovic)首相の内閣も同日、総辞職が承認されたが、新大統領が選出されるまで後任の首相は選出できない状況となっている。
今回の住民投票の決定は、国家の司法機関に対するスルプスカ共和国指導部の反発を明確に示すものであり、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ国内の政治的対立を一層深める可能性が懸念されている。
(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)
この記事へのコメントはありません。