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コソヴォ選管がセルビア系最大政党の地方選挙参加を否決-欧米からは懸念の声

8月21日、コソヴォ中央選挙管理委員会(Central Election Commission, CEC)は、10月12日に実施予定の地方選挙において、セルビア系最大政党「セルビア人リスト(Srpska Lista, SL)」の参加登録を認めない決定を下した。この動きに対し、欧米主要国からは、コソボ内の全てのコミュニティの民主的な代表性が損なわれる可能性について懸念の声が上がっている。

CECの採決では、委員11名のうち賛成は2名にとどまり、2名が反対、7名が棄権した。与党「自己決定運動」(Lëvizja Vetëvendosje, LVV)所属の委員は、SLの候補者の一部が、コソヴォ政府の管轄外でセルビアが運営する「並行機関」に関与していることや、コソヴォ政府がテロ組織と見なす団体に所属している疑いを理由に、登録に反対するよう呼びかけた。

これに対し、SL所属の委員は、同党の申請はCECの全ての行政手続きを通過したと主張し、「もし証拠があるなら、関係機関が職務を遂行すべきだ」と反論した。

この決定を受け、欧州安全保障協力機構(Organization for Security and Co-operation in Europe, OSCE)コソヴォ・ミッションは、「自由で公正な選挙への参加権は、民主的ガバナンスの礎である」とし、「政治主体の排除は民主的な多元主義を損ない、制度への信頼を弱める」との懸念を表明した。また、駐コソヴォ米国臨時代理大使は、採決前にコソボのクルティ(Albin Kurti)暫定首相と会談し、米国の懸念を伝えた上で、「コソボの全ての市民は、地方レベルで自らの代表者を選ぶ機会を持つべきだと信じている」と記者団に語った。

セルビア政府も強く反発している。コソヴォ・メトヒヤ事務所のペトコヴィッチ(Petar Petković)長官は、この決定が「クルティ首相の直接の命令によるもの」だと非難し、「SLへの攻撃は、コソヴォ・メトヒヤの全セルビア人への攻撃でもある」と述べた。

SLがCECによって選挙参加を拒否されるのは初めてではない。2025年2月の議会選挙の際にも登録を拒否されたが、その後の選挙不服申立審査委員会(Election Complaints and Appeals Panel, ECAP)への不服申し立てが認められ、出馬が実現した経緯がある。コソヴォの選挙関連法では、CECの決定に対し24時間以内にECAPへ不服を申し立てることが可能であり、SLは今回も同様の措置をとるものと見られる。

(アイキャッチ画像出典:Shutterstock)

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