上川外相が日本の外相として初めてコソヴォを訪問
7月19日、上川陽子外相が日本の外務大臣としては初めてコソヴォを訪問し、クルティ首相、ゲルヴァラ外相等との会談を行った。
1.クルティ首相との会談及びワーキング・ディナー
上川外相はクルティ(Albin Kurti)首相との会談及びワーキング・ディナーを行った。
外務省発表及びクルティ首相の公式X(旧Twitter)アカウントによれば、クルティ首相は二国間関係樹立15周年を機に日本との二国間関係を発展させたい旨述べたのに対し、上川外相は、外交関係15周年の年に日本の外務大臣として初めてコソヴォを訪問できたことを光栄に思うと述べた。
上川外相は、日本が推進する「西バルカン協力イニシアティブ」の下で、これまでに日本がコソヴォに対し行ってきた各種支援について触れつつ、今後も日本がコソヴォの社会経済発展と欧州統合を支援する旨述べた。これに対しクルティ首相は、大気汚染モニタリングや公共放送の発展等に対するこれまでの日本の支援に対する謝意を述べつつ、今後は特に鉄道をはじめとしたインフラ分野や再生可能エネルギー分野での協力関係強化を期待すると述べた。
セルビア・コソヴォ関係に関し、上川外相は、日本は「ベオグラード・プリシュティナ間対話」を通じた問題解決を支持しており、全ての関係者が対話を通じて各々の義務を誠実に履行する事が重要であると指摘し、対話の進展に向けたクルティ首相のリーダーシップに期待する旨述べた。
その後のワーキング・ディナーにおいては、経済、医療保険、教育、スポーツ等の幅広い分野における二国間協力について意見交換が行われると同時に、ウクライナ情勢、東アジア情勢等についても率直な意見交換が行われた。
また、クルティ首相の公式Xによれば、コソヴォ政府は上川外相の訪問に合わせ、1970年代に俳句等の日本文化をコソヴォに伝えたアルバニア人デザイナーであるニマニ(Shyqri Nimani)氏の作品の展覧会を開催した。
2.日・コソヴォ外相会談
上川外相はゲルヴァラ(Donika Gërvalla)外相との間で二国間外相会談を行った。
外務省発表によれば、上川外相は、西バルカン地域の発展のためには、域内諸国の平和と安定と域内各国間の協力の推進、欧州統合が重要である旨述べた上で、日本が「西バルカン協力イニシアティブ」の下でコソヴォに対し行ってきた各種支援や日本企業のコソヴォ進出事例等に言及した。これに対し、ゲルヴァラ外相は、日本の支援に対する謝意が述べられた。両外相は、大阪・関西万博なども契機としつつ、今後の二国間経済関係を強化することで合意した。
また上川外相が、より強靱な経済と社会発展のためには女性・平和・安全保障(WPS)の推進が不可欠だと指摘したのに対し、ゲルヴァラ外相は、紛争下で女性が大きな役割を果たしたコソヴォはWPSを重視している旨述べた。
セルビア・コソヴォ関係について、上川外相は、日本は「ベオグラード・プリシュティナ間対話」を通じた問題解決を支持しており、全ての関係者が対話を通じて各々の義務を誠実に履行する事が重要である旨述べた。これに対しゲルヴァラ外相からは、「ベオグラード・プリシュティナ間対話」の現状についての説明がなされた。
3.ヤヒヤガ元大統領との会談
上川外相はヤヒヤガ(Atifete Jahjaga)元コソヴォ大統領と会談を行った。
外務省発表によれば、ヤヒヤガ氏からは、大統領として女性、若者、和解等の課題に取り組み、また退任後も自身が設立した基金を通じて女性や子供を支援する活動を行っているとの説明があり、また、日本の草の根無償資金協力を通じてコソヴォの地方診療所にマンモグラフィーが設置されたことに対する謝意が述べられた。
上川外相は、ヤヒヤガ氏が女性のエンパワーメントに長年取り組んできたことに敬意を表しつつ、日本はWPSを主要外交政策の一つとしており、本年9月に開催される国連未来サミット及びWPS決議から25周年となる2025年の機会に日本としてWPSの取組を更に推進したいとの考えを伝えた。これに対し、ヤヒヤガ氏は、上川外相がWPS分野で指導力を発揮していることへの敬意が示されるとともに、日本のイニシアティブへの賛意が示された。
(アイキャッチ画像出典:クルティ首相公式X)
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