クルティ首相がNATO事務総長と会談

8月17日、クルティ(Albin Kurti)コソボ首相は、北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ(Jens Stoltenberg)事務総長とブリュッセルで会談し、7月末に情勢が緊迫化したコソボ北部情勢について議論した。18日には、EUの仲介によるセルビア・コソボ首脳会談が予定されている。また、ストルテンベルグ事務総長はこの会談に先立ち、ブチッチ・セルビア大統領とも会談した。

会談後の共同記者会見において、クルティ首相は次のように述べた。

会談では、コソボ政府が欧州大西洋的価値に沿った政策を追求していることを強調した。過去23年間、NATOがコソボにおける自由、復興及び安全保障に対し多大な貢献をしてきたことについて、改めて感謝を申し上げる。

NATOはコソボ治安部隊(Kosovo Security Force:KSF)の発展と能力開発に対し大きな貢献をしてきた。NATOの支援のおかげで、KSFはNATO水準に適合した高い水準の能力を備え、NATOとの共同作戦に参加できるだけの相互運用可能性を獲得しており、昨年8月のNATOによるアフガニスタン市民の避難作戦を支援するにあたりKSFがNATOからの信頼を得たことを光栄に思う。コソボはNATO加盟を希望しており、平和のためのパートナーシップ(Partnership for Peace:PfP)への参稼はそのための試金石となるだろう。コソボは、西バルカンのみならず世界における平和と安全へ貢献する用意がある。

NATOが現在直面している脅威とリスクは、コソボが直面しているものと同じである。ロシアの影響下にあるセルビアは、コソボ及び西バルカン地域に対する破壊的なアプローチを継続している。

我々は、経済発展、福祉、民主主義、人権及び少数派の権利尊重、安全と安心、法の支配に対し完全にコミットしている。

一方、ストルテンベルグ事務総長は次のように述べた。

我々はコソボ北部での最近の緊張状態と全てのコミュニティの安全を確保するうえでのNATOの役割について議論した。現地情勢が改善したことを歓迎するが、事態のエスカレーションは避けねばならない。故に両当事者に対し、抑制的に振る舞い、対話の助けにならないような言動を慎むよう求める。全ての問題は政治的対話を通じて解決されねばならない。これは私からの明確なメッセージであり、同じことはブチッチ・セルビア大統領にも伝えた。

NATOが主導する平和維持部隊であるコソボ安全保障部隊(KFOR)は、情勢を注視しており、KFOR司令官はコソボ治安組織及びセルビア軍参謀総長と恒常的に連絡を取っている。KFORの任務を成功させるうえで中立性は重要であり、またKFORは安定が脅かされた場合には介入する用意がある。KFORは3,700名以上の兵員を有し、国連安保理決議1244号によって付与された任務権限に則り、コソボの全ての人々のために、安全な環境と移動の自由を確保し続ける。

ただし、持続可能な平和を創出する唯一の道は、EUが仲介するベオグラード・プリシュティナ間対話を通じた問題解決である。両当事者に対し、明日(18日)の対話に建設的に臨むことを求める。この対話はコソボにとって、コソボが欧州大西洋共同体における責任ある主体であることを示すための良い機会である。

ベオグラードとプリシュティナが対話を通じて相互の立場の違いを解消し、見解が一致する点を見出し、全てのコミュニティの権利を尊重する解決策に達することは、NATOにとって重要である。

クルティ首相発言全文(コソボ首相府ウェブサイト掲載、英語)

NATOプレスリリース(英語、記者会見音声ファイル含む

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